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放送現場の疑問・視聴者の疑問

「依存」の読みは[イソン]か[イゾン]か?
「依存」「既存」「共存」など「存」の付く語の読み

福島第一原発事故のあと国会をはじめさまざまな場で「従来の原発依存から脱し…」「脱原発依存」など「依存」ということばが頻繁に登場していますが、この「依存」について、[イソン]と[イゾン]の2とおりの言い方を耳にします。「依存」の読みについて放送での決まりはあるのでしょうか。

放送では①[イソン]②[イゾン]にしています。

解説

「存」の字音には清音の「そん」(漢音)と濁音の「ぞん」(呉音)があり、この文字を使った熟語は読み方を誤ったり迷ったりする語の一つです。

ご質問の「依存」については、以前は伝統的な読みとされてきた[イソン]としか読まないことにしていました。しかし、昭和58(1983)年1月の第961回放送用語委員会で従来の[イソン]に加えて新たに[イゾン]も認めることを決めています(注)。

このときの決定の理由として◇「依存」を[イゾン]と読む人が増えていることに加えて◇「同音語に『異存(イゾン)』があるが、使われる文脈が異なるので『依存』を『イゾン』と読んでもまぎらわしくはない」ことがあげられています。

「存」の付く主な語の放送での読みは、以下のとおりです。

  • ①~ソン②~ゾン・・・依存 共存 現存 残存 併存
  • ソン・・・・・・・・・存続 存廃 存立 存亡 既存
  • ゾン・・・・・・・・・存念 存命 異存 生存

ところで、このような漢語や同音異義語(読み・音が同じで意味の違う語)は耳で聞いて分かりにくい場合も多いので、放送ではなるべく言い添えや言いかえをすることを心がけたいものです。そのためには、ふだんから「ことばの引き出し」をたくさん用意しておく必要があります。

(『NHK日本語発音アクセント辞典 新版』p.46、p.210、p.228、p.283、p.356、p.473、p.513『NHKことばのハンドブック 第2版』p.120参照)

(注)この決定の裏付けとなった辞書調査や有識者アンケート調査の結果と「存」の付く語の読みをめぐる放送用語委員会での戦前からの審議の経緯などについては、当放送文化研究所の月報『放送研究と調査』1983年10月号に「依存(いぞん)と読んでも異存なし」(浅井真慧))という題で記されています。

(メディア研究部・放送用語 豊島秀雄)