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放送現場の疑問・視聴者の疑問

「○○さんが入籍」は正しい?

一部の番組で有名人・芸能人の結婚の話題を取り上げる際、「○○さんが入籍」などと伝えている場合がありますが、「入籍」は間違った使い方ではないでしょうか。

一般的に、そのような場合の「入籍」という表現は正確ではありません。なるべく「婚姻届を出した(出しました)」などとしたほうがよいでしょう。

解説

「入籍」について、法律用語の解説書は次のように記述しています。「一般的には、ある特定の者が既存の戸籍に入ること。生まれた子が父母の戸籍に入る場合のような原始的入籍と、養子縁組により養子が養親の戸籍に入るような移転的入籍とがある。(以下略)」(『有斐閣 法律用語辞典』)

通常の結婚は、この「原始的入籍」と「移転的入籍」のどれにも該当しません。今の戸籍法では、結婚する場合、婚姻届を出して2人の戸籍を新しく編製-編籍します。ニュースや一般番組で「婚姻」を「入籍」と伝えるのは正確ではありません。また、「結婚して女性は男性の家(戸籍)に入る」という古い家<いえ>制度の考え方・観念を引きずっているという批判もあります。

新聞社や通信社の中には『用字用語ハンドブック』の「にゅうせき 入籍」の見出し語のところに「[注]養子縁組では使用するが、結婚の場合はなるべく『婚姻届を出した』『結婚した』などとする」「男女とも初婚の場合は、新しい戸籍を作るので『入籍』とはしない」と記してある社もあります。

女子柔道シドニー五輪金メダリストの田村亮子さんとプロ野球オリックスの谷佳知さんの「結婚報道」でも、多くのメディアは「入籍」は使わずに「ヤワラちゃん婚姻届(提出)」などと伝えていました。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)