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放送現場の疑問・視聴者の疑問

「カロチン」「カロテン」?

先日、医療・健康番組の中で、ニンジンなどに多く含まれる「カロチン」を「カロテン」と言っていました。最近、言い方が変わったのでしょうか。

政府の「食品標準成分表」の表記が、3年前に「カロチン」から「カロテン」に変わったことなどに伴い、放送でも最近「カロテン」という言い方をすることが多くなっています。

解説

「carotene」は、従来「カロチン」と言われることが多く、私も学校給食などの時間に先生から「ニンジンには体に大切な『カロチン』がたっぷり含まれているので残さずにしっかり食べましょう」と教えられて育った世代です。しかし、専門家の間では普通「カロテン」と言われ、『学術用語集-化学編』での表記も「カロテン」で、「カロチン」は「古い用語として文献などに見られるが、その使用は望ましくない」とされています。また、3年前に改められた政府の「食品標準成分表」(食品に含まれる栄養成分の基礎的データ集。正式には『五訂日本食品標準成分表』)で、「カロチン」が「カロテン」に変更されました。こうした動きを受けて、辞書の中には改訂版の見出し語を、従来の「カロチン」から「カロテン」に替えるものも出始め、放送でも最近「カロテン」を使うことが多くなっています。しかし、「カロテン」を見出し語として載せている辞書は、まだ少なく、インターネットのホームページの検索などに使われる「Yahoo!」でも、「カロチン」が38,900件、「カロテン」が2,920件(2003.3.6調査)と、「カロチン」が圧倒的に多く使われています。このようなことから、「カロテン」を放送で使う場合には、言い添えや説明をするか、「カロテン(カロチン)」など表記を工夫する必要があります。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)