放送現場の疑問・視聴者の疑問

「甲板」「甲板員」の読み方は?

先の不審船事件をはじめ、海関係の事件や事故のニュースで出てくる「甲板」「甲板員」について、[コーハン][カンパン]と[コーハンイン][カンパンイン]の両方の言い方を聞きます。放送では、どのように読んでいるのでしょうか。

「甲板」は[カンパン]、「甲板員」は[コーハンイン]です。

解説

「甲板」(船の上部の平らな床)を、船舶関係の専門分野の人たちは普通[コーハン]と読み、文部省の学術用語集『船舶工学編』にも「kôhan 甲板 deck」(ローマ字書きの部分は日本語での読み)と記されています。しかし、一般社会では、[カンパン]と読む慣用がきわめて強いため、放送では[カンパン]と読んでいます。ただし、漁船などの船舶の乗組員の職名「甲板員」は、以前NHKが海上保安庁や商船・海運会社など船舶関係者や専門分野の人たちに呼称を問い合わせたところ、ほとんどの人が[コ-ハンイン]と答え、[カンパンイン]という呼称には抵抗感を示していました。このため、「甲板員」「甲板長」などの職名については、[コーハンイン][コーハンチョー]などと読むようにしています。

(『ことばのハンドブック』P45参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)