人々と東京五輪・パラ

ー東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査ー

公開:2023年1月30日

NHK放送文化研究所(文研)が2016年から6年にわたって実施した世論調査の結果から、東京2020オリンピック・パラリンピック(五輪・パラ)が、人々の意識や社会にどのような変化をもたらしたのかを考える。
東京は、東日本大震災の発生した2011年に開催都市に立候補し、2013年に招致に成功した。2016年の初回調査では多くの人が開催決定を前向きに評価した。一方で、1964年の前回大会時のように、開催を“国家的栄誉”だと感じる人や、被災地復興を後押しする“復興五輪”であると考える人は少なく、大会歓迎の熱量は低めだった。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大会は1年延期された。人々は延期を冷静に受け止めたものの、感染収束が見通せぬ中、翌年の開催が感染状況悪化につながることを大多数が危惧した。一方で、中止によって選手の努力を台無しにしたくないと考える人も多かった。
東京五輪・パラは2021年夏、東京に緊急事態宣言が出された状況で開催され、自分たちは自粛を強いられているのに大会が敢行されたことに、半数を超える人々が不満を抱いた。また、政府が掲げた“復興五輪”や“コロナに打ち勝った証”という位置づけに対しても、多くの人々が否定的な評価を下し、当初半数以上の人が抱いた経済効果への期待も、コロナ禍によって肩透かしに終わった。そうした点では、今大会は、戦後復興の象徴となった1964年大会とは別物であり、人々が思い描いていたような大会にもならなかったと言える。
一方で、五輪・パラは人々の意識に前向きな変化ももたらした。大多数の人がテレビを通じて五輪・パラを“純粋なスポーツ大会”として楽しみ、若者たちのスポーツへの関心も高まった。また東京パラ開催によって、若い年代や女性では、障害者スポーツをもっと見たい、自分も挑戦したいと感じた人も多い。さらに、大会を機に“多様性と調和”の大切さに多くの人が気付いたことも大会の成果である。ただし、“多様性と調和”に対する自身の理解や日本の現状については不十分だと感じている人が多く、障害者に対する理解が、若者や、障害者と関わりのない人にまでは広がらなかったという課題も残った。その点では大会後も粘り強い啓発が必要であり、その役割をメディアが果たすことに多くの人が期待している。

※男女年層別はホームページ上のみ掲載しています。

計画管理部 斉藤孝信

※NHKサイトを離れます

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