固定電話調査の代替としての郵送調査の可能性を探る

公開:2019年5月1日

NHKの全国電話世論調査は、2016年12月から「固定・携帯RDD」を採用している。一方で、地域を限定した調査では、携帯電話の番号は地域の判別ができないため、依然として、固定電話のみ(以下、「固定RDD」)で調査をせざるを得ない。

しかし、近年の「固定RDD」のサンプル構成比をみると、住民基本台帳の構成比からの乖離が大きくなっており、この手法が曲がり角に近づいていることがうかがえる。

このため、文研は2018年10月に神戸市などを対象にした世論調査を行うにあたり、「固定RDD」の代わりに郵送法を採用し、電話調査のメリットである機動性に近づけるべく、可能なかぎり実査期間の短縮を試みた。この結果から得られた主な知見は、以下のとおりである。

  • 通常よりも督促回数を減らし、実査期間を約半分に短縮しても、高い有効率を維持することができた
  • 最初の締め切り日を早めたことにより、回収のスピードを上げることができ、実査期間の前半で高い有効率を積み上げることができた
  • サンプル構成比は、「固定RDD」と比べると、住民基本台帳の構成比からの乖離の幅が小さくなり、高年層への偏りは大きく改善した

以上のことから、地域を限定した調査では、迅速な結果の公表が求められる調査でないかぎりは、「固定RDD」から切り替えたほうが調査の精度が向上すると考えられる。

世論調査部 萩原潤治

※NHKサイトを離れます

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