生活時間研究の現状と新しい流れ

~第39回国際生活時間学会報告~

公開:2017年11月1日

2017年7月17日から21日までスペインのマドリード工科大学において、第39回国際生活時間学会(IATUR)が開かれた。今回のテーマは「生活時間調査~過去・現在・未来への展望」である。「家事」「子ども」「ジェンダー」「労働」といった社会・経済的な視点から、「調査方式」などの方法論まで、幅広いテーマで3つの基調講演と80あまりの発表が行われた。

今回注目したのは、スマートフォンのアプリを活用した調査方式や、生活時間分析の新たな試みである。イタリア・トリノ大学からは、スマートフォンのセンサーやGPSを活用して生活行動を計測し、継続的なデータ収集により行動予測までも可能とするプロジェクトの発表があった。また東工大からは、生活行動データをグラフなどのビジュアルではなく「音」で表現し、調査相手にわかりやすく魅力的に結果を伝えるという試みが報告された。こうした取り組みの発表がある一方、急速に人々の生活に入り込んだインターネットや、スマートフォンなどの新しいデバイスをどのように調査の中で捉えればよいのか、諸外国でも我々と同じ課題を抱えていることがわかった。例えば、スペイン・バスク州の統計局からは、インターネット利用が現行調査の枠組みを超えており、新しいアプローチが必要であるとの報告があるなど、欧州各国で課題となっている現状がある。インターネット利用をどう捕捉するかは、今後の生活時間調査を考えるにあたり、避けて通れない重要課題である。

世論調査部 林田将来/渡辺洋子

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