米大統領選挙で世論調査は"外れた"のか

~アメリカ世論調査協会の報告から~

公開:2017年9月1日

2016年アメリカ大統領選挙は「クリントン氏優勢」という大方の世論調査の予想を覆しトランプ氏が勝利した。世論調査の信頼が揺らぐなか開かれたアメリカ世論調査協会の2017年総会は関係者らによる検証の場となり、本稿で紹介する協会が設置した調査委員会の検証報告では、世論調査がトランプ氏勝利を読めなかったいくつかの理由が示された。ただ、調査の精度を向上させるには多額の費用や専門知識のある人材を必要とし具体策は見出せていない。

アメリカの大統領選挙では、多くの票を集めた候補ではなく、州ごとの勝者が獲得する選挙人を過半数得た候補が当選する。世論調査は全米の情勢をみる全米調査と州別の情勢をみる州調査に分かれるが、2016年の選挙では州調査の精度が低く勝敗予測が外れる要因になったと指摘された。調査委員会の検証では州調査がなぜトランプ氏支持を過小評価したかが焦点となり、▶民主党の支持基盤の州で、選挙戦最終盤まで投票先を決めていなかった有権者がトランプ氏支持に向かっていた流れを把握できていなかったこと、▶低学歴層の支持傾向が変化していたこと▶民主党支持傾向が強い黒人の投票率低下を読みきれていなかった可能性があること、などが指摘された。このほか総会のセッションでは“隠れトランプ支持”説が検証を経ても証明できなかったことや、世論調査を使った予測報道が有権者の投票行動に与える影響を検証する重要性についても議論が行われた。

世論調査部 政木みき
NHKグローバルメディアサービス 大滝昭彦(前 世論調査部)

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