男女の家事時間の差はなぜ大きいままなのか

~2015年国民生活時間調査の結果から~

公開:2016年12月1日

2015年の国民生活時間調査の結果によると,成人男女の家事時間は,長期的には男性で増加,女性で減少しているものの,成人女性で4時間18分,成人男性で54分と3時間以上の差がある(平日)。なぜ,このように大きな差があるのか,20~59歳にサンプルを限定し,平日のデータを分析した。まず,家事の長短に影響を与える行動をみたところ,家事時間と仕事時間には負の相関があり,他の行動の長短は大きく影響していないことがわかった。そのため,家事と仕事の関係をライフステージ別に比較したところ,ライフステージの変化による家事時間の変化は,男性より女性の方が大きく,特に結婚が男性は仕事,女性は家事を主に担うという性別役割分担を生じさせる起点となり,子どもの誕生がさらにそれを推し進める方向に作用していることがわかった。次に男女それぞれについて,家事時間の時系列変化の要因を検証したところ,女性では、未婚化や少子化の進行,有職者の増加という属性の変化と,炊事・掃除・洗濯という基幹家事の効率化によって家事時間が減少に向かう一方で,子どもの世話にかける時間が増加し,両者が相まって家事の減少が緩やかになっていることがわかった。男性の家事時間は,意識の変化などにより,家事をする人は増えたものの,長時間働く人の増加によって,行為者率の増加が抑えられ,全体としての増加が緩やかであるという構造が確かめられた。

世論調査部 渡辺洋子

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