新たな方式に挑む生活時間調査

~第38回国際生活時間学会報告~

公開:2016年11月1日

2016年7月20日から22日までの3日間、韓国のソウル大学で、国際生活時間学会(International Association for Time Use Research)が開かれた。今年のテーマは「生活時間調査の新たな課題」で、3つの基調講演と100件余りの口頭発表が行われた。

今回の会議では、パソコンやタブレット、スマートフォンなど電子機器を使って行動の記録を入力する新しい方法の生活時間調査に関する報告が注目を集めていた。イギリスでは、パソコン、スマートフォンと紙の調査票を使った若年層対象の実験調査が行われ、回答傾向は似通っていたものの、ウェブ閲覧やSNS利用の平均時間が紙の調査票の方が長いという結果が紹介された。カナダからは、インターネットと電話を併用した実験調査が報告され、回答内容に大きな違いはなかったが、特にインターネット調査では若年層の回答率の向上が課題となっていた。韓国では、紙の調査票とスマートフォンのアプリケーションでの生活行動の記録の仕方の違いを検証し、回答者はスマートフォンのアプリケーションの方が便利、簡単で、実態に近い時間を記録できると評価した、という報告があった。それぞれ手法の違いにより、記録の仕方や結果に若干の違いがみられたが、いずれも新しい調査方法を将来の生活時間調査に導入する方向で検討していた。

会議に参加して、生活時間調査の紙と鉛筆という手法が転換点を迎えつつあることを実感し、今後NHKの調査でも新たな方式の可能性について検討することの重要性を感じた。

世論調査部 渡辺洋子

※NHKサイトを離れます

全文を見る PDF(895KB)

英文サマリー