低下する日本人の政治的・社会的活動意欲とその背景

~ISSP国際比較調査「市民意識」・日本の結果から~

公開:2015年1月1日

NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループISSP(International Social Survey Programme)では、2014年6月に「市民意識」をテーマに世論調査を実施した。同じテーマの調査は2004年にも実施しており、本稿では10年前との比較を中心に日本人の政治的・社会的活動への意欲の変化などについて紹介し、最後の章でその背景についても考察する。

「請願書に署名」などの政治的・社会的活動の経験とその意欲について前回の結果と比較したところ、「今までしたことがないし、今後もするつもりはない」と答えた人が比較可能な7項目すべてで増えていた。増加率の大きなものを挙げると、「社会、政治的活動のための寄付や募金活動」は38→52%、「請願書に署名」は20→28%、「政治家や公務員に意見表明」65→73%などとなっていて、日本人の政治的・社会的活動への意欲の低下が顕著に表れている。また、年層別にみると、40代以下の若い世代を中心に低下していた。

本稿ではこの背景について、①政治に働きかけても何も変わらないという意識、②前回に比べて比較的安定した経済的状況、③若い世代を中心とした身近な世界で「満足」するという価値観の変化、の3つが重なったことが要因ではないかと考察した。

世論調査部 小林利行

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