放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCトラスト次期会長候補「受信許可料は最適な制度」

イギリスの公共放送BBCを監督するBBCトラストの次期会長への就任が有力視されているロナ・フェアヘッド氏は9月9日,選考過程で行われた英下院の委員会質疑の中で,受信許可料制度について「2016年のBBC特許状更新に向け,あらゆる選択肢を検討するが,私は,受信許可料は,BBCの財源として最適だという強い意見を持っている」と述べた。その上で,年額145.50ポンド(約2万5,000円)の金額についても「決して安くはないが,BBCが提供するさまざまなサービスをみると,金額に見合う価値があると思う」と,現状の受信許可料を維持することが望ましいという考えを示した。

英Ofcom,ローカルテレビの現状を報告

イギリスの放送通信分野を規制監督するOfcom(Office of Communications)は9月15日,地上デジタル放送のローカルテレビ導入後,2年を経過した現状を公表した。それによると,全国でローカルテレビには30の免許が付与され,9月現在,2013年11月にイングランドのグリムズビーで放送を開始したEstuary TVをはじめ,6つのローカルテレビが放送を行っている。また,2015年2月までにさらに10局が放送開始の予定である。一方,Ofcomは7月にロンドンのローカル免許保有者のESTVからローカルコンテンツの放送時間量の減少など免許条件の緩和の申請を受けたが,9月16日に申請を退ける決定を下した。

仏TV国際放送,国内向けにも放送開始

フランスのテレビ国際放送France 24は9月24日から,一部の地域で地上デジタルによる国内向けの放送も開始した。放送は無料で,地デジの第33チャンネルで行われている。公共放送France24の海外向けニュース番組のうち,フランス語,英語,アラビア語の3か国語のバージョンが,パリと首都圏のイル・ド・フランス向けに放送されていて,潜在的には1,200万人が視聴可能だという。France 24の国内向け放送はこのほか,ケーブル,衛星,それにIPTVですでに行われている。

仏,楽天の子会社がVODサービス開始

フランスでは,アメリカのNetflixに続いて,日本のeコマース大手の楽天の子会社Wuaki.tvが9月26日,VODのストリーミングサービスを開始した。最低で3.99ユーロ(約550円)から,パソコンなどで番組コンテンツを視聴できる。楽天はeコマースでは,フランス国内で2,000万人の利用者があることから,これら利用者がVODサービスを契約する可能性があると期待をかけている。楽天の子会社によるVODサービスはすでにスペインとイギリスで合わせて150万件の契約がある。楽天は今後,ドイツやイタリアにもサービスを拡大したいとしている。

独,テレビをネットに接続している世帯は15%

公共放送のARDとZDFは9月4日,「2014年インターネット利用行動調査」を発表した。これによると国民の79.1%がインターネットを利用している。この中で,少なくとも時々はインターネットでテレビ番組の時差視聴をする人の割合は35%,テレビ番組の同時配信を見る人は25%で,前年とほとんど変わらなかった。国民がインターネットを使っている1日の平均時間は前年より3分増え111分,テレビ視聴時間は前年より2分減って240分だった。また,ドイツの州メディア監督機関が9日に発表した「2014年デジタル化報告書」によると,スマートテレビの所有世帯は16%,テレビをインターネットに接続するためのセットトップボックスなどの周辺機器を含めると22.9%で,これらを実際にインターネットに接続して利用している世帯は15%と,いずれも大幅な増加を示した。

伊RAI経営委,子会社Rai Way株の一部売却案を承認

イタリアの公共放送RAIの最高意思決定機関である経営委員会は,9月4日,RAIの送信設備の運営を統括する子会社Rai Wayの株式の一部を市場に売却する計画を承認した。これは2014年4月にレンツィ政権がRAIに義務づけた,年末までの1億5,000万ユーロの予算削減を受け,財源確保のために経営陣が検討していたもの。RAIは,Rai Way株をミラノにあるイタリア証券取引所に年内に新規公開(IPO)して上場させる方向で手続きを始めたと発表した。売却株数については,政府の勧告を受け,全体の49%以下になるとみられている。