放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCニュース,デジタル化推進でポスト削減へ

イギリスの公共放送BBCのジェームズ・ハーディング報道局長は7月17日,BBCニュース全体で2016年度まで,年4,800万ポンド(約83億円)の経費節減を目指し,415のポストを削減,一方で195のポストを新設する計画を明らかにした。国際放送,国内ニュース,報道番組など部署を越えて取材・制作陣の共有化を進めることで要員を減らす。一方,デジタルプラットフォームへの投資や,携帯ニュース,データジャーナリズムなど,新たなサービスの分野ではポストを増やす。

英Ofcom,新たに7件のローカルテレビ免許を募集

イギリスの放送と通信の規制機関であるOfcom(Office of Communications)は7月31日,新たに7件のローカルテレビ免許の募集を開始した。アナログ放送終了後の周波数帯の一部を利用して,地上デジタル放送でローカルテレビの導入が進んでいる。今回の募集で,合計37のローカルテレビ免許が付与されることになる。このうち,2014年7月の段階でスコットランドのグラスゴーなど5局がすでに放送を開始している。

仏・公共放送への政府補助金大幅削減へ

フランス政府は2014年7月10日,公共放送フランステレビジョン(FTV)に対する政府補助金を,今後3年間で10分の1程度に削減すると発表した。それによると,2014年度の予算では2億9,200万ユーロ(約390億円)が政府補助金として組み込まれているが,これを3年間で段階的に削減し,2017年度には2,900万ユーロに減額するという。FTVへの補助金の交付は,2009年の改正放送法によってFTVが日中の広告放送を廃止したことから,その減収分を補うため行われてきたが,財源難の政府は緊縮策の一環として補助金の大幅カットを決めた。これによってFTVはさらなる経費削減と合理化を迫られることになる。

独行政裁,RTLリアリティー番組での人権侵害認める

ドイツのハノーファー行政地方裁判所は7月8日,商業放送RTL Televisionが2011年9月に放送した子育てリアリティー番組『スーパーナニー』で人権侵害があったと認め,規制機関の州メディア監督機関がRTLに対して行った警告は不当だとする同局の訴えを退けた。問題となった放送では,母親が3人の子どもに計10回暴力をふるい,その映像が番組本編や冒頭のティーザーで繰り返し使用された。RTLは,番組は商業放送の自主規制機関による事前審査で問題なしとされており,その場合には規制監督機関の介入は法律上認められない,などと主張したが,裁判所は,人権に関わる問題では州メディア監督機関は自主規制機関の判断を事後的に修正できるとした。RTLの『スーパーナニー』は2011年11月に放送が終了している。

伊AGCOM,2013年の年次報告書を公表

イタリアの通信規制庁AGCOMは,7月15日,2013年に関する年次報告書を公表した。報告書によると,2013年は放送,出版,通信,郵便など,ほぼすべての分野で減収となり,コミュニケーション市場全体の収入規模は,前年比で9%減の約561億ユーロであった。中でも電気通信分野は10.8%の落ち込みとなった。放送事業者別の収入では,衛星有料Sky Italia が1位で26億ユーロ(シェアで32.5%),次いで公共放送RAI が23億ユーロ(同28.9%),商業放送大手Mediaset が22億ユーロ(同28.4%)と,3事業者で市場全体の約90%を占めた。一方,プラットフォーム別のテレビ視聴シェアは地上デジタル放送が83.6%,次いで衛星デジタル放送が16.4%,IPTVは実質0%となった。

伊・衛星Tivù Sat,開始から5年で220万件を突破

イタリアの無料衛星プラットフォームTivù Satは7月30日,サービス開始から5年を迎え,利用者が220万件を超えたと発表した。Tivù Satは公共放送RAI, 商業放送Mediaset,Telecom Italia Media,ローカル放送連盟FRTなどによる合弁事業として設立され,2009年7月31日にイタリア初の無料衛星プラットフォームとしてサービスを開始した。専用のSTBとパラボラアンテナがあれば,現在,BBC,NHKなどの外国チャンネルやHDを含む合計64のテレビチャンネル,ラジオ32チャンネルが視聴できる。