放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米ABCアンカー,D.ソイヤー氏からD.ミュアー氏に交代

ABCニュースは6月25日,夕方のニュース番組『ワールド・ニュース』のアンカー,ダイアン・ソイヤー氏が降板し,9月からデビッド・ミュアー氏が担当すると発表した。ミュアー氏は40歳で,若手の成長株。ソイヤー氏は引き続き,調査報道や大型インタビューを担当する。また同社は,これまで夕方のアンカーが担当するのが常だった“リード・アンカー”に,朝の番組『グッド・モーニング・アメリカ』や日曜朝の討論番組『ディス・ウィーク』を担当しているジョージ・ステファノポロス氏を充てることも明らかにした。リード・アンカーは緊急ニュースや選挙開票速報などを担当する。

米,デジタルメディアの主流は携帯端末

アメリカではデジタル機器の中でもスマートフォンやタブレットなどの携帯端末の利用が増えており,国民のデジタルメディアの総利用時間の6割を携帯端末が占めているという調査結果が発表された。調査会社comScoreが6月25日,5月時点の調査の結果として発表した。とりわけインターネットラジオや写真共有サイト,地図ソフトなどの利用にあたっては,携帯端末でアクセスする時間が9割以上を占めている。

米21世紀FOXによる買収提案,Time Warnerが拒否

ルパート・マードック氏率いるメディア・グループの21世紀FOXが,同じ大規模メディア企業のTime Warnerを800億ドル(約8兆円)で買収する提案を持ちかけ,Time Warner側がこれを断ったと,全米のメディアが7月16日に一斉に報じた。このうちNew York Timesは,ケーブル事業者の大規模合併や,GoogleやAmazon,Netflixなどのネット企業が映像事業に進出する動きが活発化する中で,21世紀FOXはコンテンツとその制作会社を囲い込む狙いがあったと分析した。また買収はこれで終わらず,マードック氏は新たなメディア再編を目指しているとも伝えた。

米FCCのネット中立性改定案への意見,100万件超え

ネット上でコンテンツの一部を優先的に配信することを認めたFCC(連邦通信委員会)の「ネット中立性」改定案に対する意見募集が行われ,締め切り日の7月18日までに100万件以上が集まり,関心の高さを示した。改定案では,ネット事業者が特定のコンテンツの配信拒否やスピードを遅くすることを禁じる一方で,追加料金を払うコンテンツ事業者には,動画などの大容量コンテンツを安定して配信する優遇措置を認めている。FCCは優遇措置が悪用されないよう規制するとしているが,ネット企業や市民団体はインターネットの公平性が損なわれると批判している。FCCは,9月までに意見に対する回答を出し,年内に改定内容を確定させる見込み。

メキシコ,放送と通信に関する諸法令改正

メキシコでは7月14日, 大企業の寡占状態にある放送・通信市場の改革を目的とした複数の法令改正が一斉に行われた。2013年に市場の競争促進を目指して憲法改正が行われたことに伴う措置である。法改正により,圧倒的な市場シェアを持つ通信事業者América Móvilや放送事業者Televisaは,自社の通信網や設備を競合他社に無償で供用することが求められるようになる。また,公共放送の拡充強化のため,「メキシコ放送公共機構(Sistema Público de Radiodifusión del Estado Mexicano)」という組織が新設されることになった。

ブラジル,地上アナログ放送終了計画発表

地上デジタル放送に日本方式(ISDB-Tb)を採用しているブラジルの通信省は7月10日,デジタル放送への移行に伴うアナログ放送終了計画を発表した。計画では,2015年に中部ゴイアス州のリオヴェルデ市で試験的にアナログ放送を終了し,その後2016年から首都ブラジリアを手始めに各地で順次アナログ放送を終え,2018年11月29日をもって全土でデジタル放送への移行を完了する予定である。移行に向け,一部の貧困層には政府の責任でデジタル放送受信装置を配布するなどの対策をとるが,デジタル放送受信可能世帯が全世帯の93%に達しない市町村ではアナログ放送を続けるとしている。