放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国KCC,旅客船事故の報道で放送局を処分

韓国の放送通信委員会(KCC)は4月30日,2週間前に起きた旅客船沈没事故で不適切な報道を行ったとして,公共放送のKBSと,ケーブルテレビ向け総合編成チャンネルのMBN,JTBCに対し,警告や注意の処分を行った。このうちKBSは同月18日に,「救助当局が多数の遺体を発見」と誤報したことで,またMBNも同日,「船内で生存者と会話した潜水士もいる」とするうその内容を語る自称民間潜水士のインタビューを報じたことで,それぞれ「警告」処分を受けた。一方,JTBCは16日,救助された高校生に対して,ニュースアンカーが電話インタビューで「友人が亡くなったことを知っているか」などと配慮に欠ける質問をしたとして「注意」処分を受けた。この処分により,各局は放送免許の再承認審査で減点される。

台湾立法院,NCCの委員候補3人を承認

台湾では,独立規制機関の国家通信放送委員会(NCC)の委員の任期切れなどに伴い,行政院(内閣)が新たに3人の候補を立法院(国会)に提案,立法院は5月27日の会議で投票を行い,与党国民党の賛成により,3人とも承認された。3人のうちメディアの分野を担当する政治大学広告学科の陳憶寧教授は国民党籍で,独立規制機関の委員としては問題があるとの意見もあった。しかし,NCC組織法では,委員の過半数を同じ政党に属する人が占めてはならないとのみ規定されているため,立法院の投票では,野党第一党の民進党が欠席したものの,特に大きな紛糾もなく承認された。しかし,馬英九政権の下では,公共テレビの会長や社長にも国民党籍の人物が就任しており,国民党のメディア支配が強まっているとの指摘も出ている。

豪政府,ABCの予算削減と国際放送契約破棄を表明

オーストラリア政府は5月13日,7月から始まる2014年度予算案を発表し,財政収支を10年以内に黒字化するため,公共放送ABCおよびSBSの予算削減や,ABCが10年契約で受託している国際放送オーストラリア・ネットワーク(AN)の契約破棄を表明した。ANについては,かつてABCとスカイ・ニュース(現21世紀フォックス系列)が経営権を争っていたが,2011年にABCが10年契約を獲得していた。今後,ANに代わる国際放送がどうなるのかは不透明な状況である。ABCのマーク・スコット会長は,予算削減は政府の公約違反だなどと反発している。

パキスタン,Geo TVグループが軍に謝罪

パキスタンで最も影響力があるとされる商業衛星テレビ局のGeo TVは,局の人気キャスターの襲撃事件に軍が関与したとする報道について5月26日,「行き過ぎだった」と謝罪した。この問題は4月19日にGeo TVの人気キャスターが襲撃され重傷を負った事件に関して,同局が,軍諜報機関ISI が関わっていると報道,軍が放送免許はく奪を求めるなど強く反発していたものである。Geo TVを擁護する声は国内外で高まっていたが,軍の意向を受けたとされる全国のケーブルテレビが,Geo TVの配信を停止するなどの措置を取ったため,Geo TVは視聴者を多数失い窮地に陥っていた。このため同局は同じ系列の英字紙NEWSとウルドゥー語紙Daily JangにISIへの謝罪文を掲載した。

スリランカ,地デジ日本方式への転換決定

日本の総務省は5月20日,スリランカ政府が地上デジタル放送の日本方式(ISDB-T)採用を正式決定したと発表した。これで日本方式を採用する国は日本を含め17か国となった。南アジアではモルディブに続き2か国目。スリランカはヨーロッパ方式(DVB-T)の採用を決め,同方式によるデジタル放送への移行準備を進めていたが,日本政府の強い働きかけで,日本方式への転換が決まった。

アフガニスタン,初の通信衛星の運用開始

フランスの衛星運営会社ユーテルサット・コミュニケーションズが打ち上げたアフガニスタン初の通信衛星アフガンサット1の運用が,5月10日,正式に始まった。同衛星はデジタル放送や携帯電話など多分野で活用され,リース料としてユーテルサット側に年間400万ドルが支払われる。7年間の運用を経た後にはアフガンサット2の打ち上げが計画されている。