放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米,チャンネル・シェアリング試験終了,技術的には可能

ロサンゼルスの公共テレビKLCSと商業テレビKJLAは,1局に割り当てられている6MHzの周波数帯域を2局で共同利用できるかを調べるチャンネル・シェアリング試験を行い,「技術的には可能」とする報告書を3月28日にFCC(連邦通信委員会)に提出した。両局は,標準的なSD画像とより精細なHD画像の様々な組み合わせでテストを行ったが,視聴者に影響を及ぼさずに放送できたとしている。これを受けてFCCは,放送局に周波数オークションへの積極的な参加を呼びかけているが,NAB(全米放送事業者協会)は,チャンネルを共同使用する際の法律面,実務面については検討すべき課題が数多く残っているとしている。

米アマゾン,ストリーミング用STBを発売

アマゾンは4月2日,インターネット経由で番組をストリーミング配信するためにセットトップボックス(STB)「Fire TV」の販売を開始した。価格は99ドルで,手のひら大のボックスをテレビに接続してコンテンツを視聴するもので,ゲーム端末としても使用できる。アマゾンは電子書籍のネット販売やDVDの通信販売で大きなシェアを占めており,Fire TVで動画コンテンツ配信にも本格的に参入した。同様のサービスにはアップルの「Apple TV」,グーグルの「Chromecast」もあり,ネット企業大手3 社のシェア争いが注目される。

米CBSの人気司会者D.レターマン氏,番組降板へ

CBS深夜の人気番組『レイト・ショー』などのトーク番組を合計33年間担当した名物司会者デビッド・レターマン氏(67歳)が,4月3日の放送の中で,来年(2015年)『レイト・ショー』を降板することを明らかにした。33年の番組司会歴はアメリカでは最長。2か月前にはNBCの同じ時間帯の司会者J.レノ氏も降板しており,深夜のトーク番組も世代交代が進んでいる。レターマン氏の後任は,ケーブルテレビ局コメディ・セントラルの人気司会者スティーブン・コルベア氏(49歳)に決まった。

米ABCニュース社長にゴールドストン氏が昇格

ABCニュースは4月10日,同社の新しい社長にジェイムズ・ゴールドストン上級副社長が昇格すると発表した。3月に前任者のB.シャーウッド氏がABCテレビジョン・グループの社長に就任したことに伴うもの。ゴールドストン氏はイギリス出身の45歳で,イギリスITVやBBCでプロデューサーをつとめた後,2004年にABCニュースに移った。ABCでは特集番組や調査報道を担当し,報道番組“Nightline”の内容を刷新したほか,朝のニュース番組“Good Morning America”や日曜朝の討論番組“This Week”の視聴率向上に貢献した。

ラテンアメリカ,地上デジタル放送急拡大の見通し

イギリスの調査会社Digital TV Researchは4月2日,同社が調査したラテンアメリカ19か国におけるデジタル放送の普及率が2014年末の51.5%から2020年末には94.5%に上り,1億5,700万世帯に達すると発表した。ラテンアメリカではデジタル放送の主役は有料衛星放送だが,2015年には普及件数で地デジが有料衛星放送を上回る見込みである。地デジの普及世帯は2014年末に2,710万世帯に達し,2020年末には7,110万世帯に増えると見込まれている。

ブラジル,インターネット法成立

ブラジルでは4月23日,インターネットの中立性や表現の自由,個人情報の保護などを規定した基本法であるインターネット市民法(Marco Civil da Internet)が成立した。同法では,インターネットの中立性に関して,インターネットの接続事業者(プロバイダー)がすべての利用者に対し同一料金なら一の速度でサービスを提供することを義務づけていて,特定の事業者への優遇は認めていない。また通信の秘密保持や利用者のコミュニケーションの不可侵を規定し,アメリカの国家安全保障局(NSA)がブラジルのルセフ大統領らのネットアクセスを傍受していたと報道されたことなどを受け,ネット関連企業が外国政府の諜報機関と協力することも禁じている。