放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米CNN,インドネシア語放送開始へ

アメリカのCNNインターナショナルは2月28日,インドネシアの大手メディア企業トランスメディアと提携してインドネシア語による24時間ニュースチャンネル「CNNインドネシア」とウェブサイトを立ち上げると発表した。放送開始の時期など詳細は今後明らかにされる。CNNインターナショナルは,提携事業も含めると英語,スペイン語,日本語,トルコ語,アラビア語の5言語で放送やオンラインサービスを行っている。

アップルTV,年間売り上げ10億ドル

アメリカのアップル社が販売するアップルTVの世界での売り上げが,2013年に年間10億ドルに達した。同社の株主総会で2月28日に発表された。アップルTVは,手のひら大の動画配信専用のセットトップボックスで,販売台数に換算するとおよそ1,000万台が売れたことになる。2007年の発売当初は不振にあえいでいたが,動画配信サイトやSNSなどのOTT(オーバー・ザ・トップ)サービスの隆盛で注目されるようになり,急激に売り上げを伸ばしている。

米・2013年の有料放送契約総数,初めて前年より減少

アメリカの調査会社SNLケーガンの3月19日の発表によると,2013年に米国内でケーブルテレビや衛星放送などの有料放送に契約している世帯の総数は前年より約25万減って1億1,020万となり,通年で初めて前年を下回った。衛星放送と通信会社の契約は増加しているが,ケーブルテレビが大きく落ち込み,前年より約200万減少した。若者を中心に有料放送に契約せずNetflixなどの廉価な動画サービスで番組を見る人が増えており,経済ニュースのBloombergは,2012年が有料放送契約数のピークの年になる可能性があると指摘している。

米ディズニー,ABCテレビ社長にニュース部門トップを指名

複合メディア企業大手のウォルト・ディズニー社は,同社傘下のABCテレビジョン・グループのアン・スウィーニー社長が2014 年末の辞任を明らかにしたことから,後任にABCニュース社長のベン・シャーウッド氏をあてることを3月24日に発表した。スウィーニー氏はディズニーの主要部門で唯一の女性トップで“米テレビ界で最強の女性”と呼ばれていたが,これまで未経験の放送ディレクターの道に進みたいと述べ,業界関係者を驚かせた。シャーウッド氏は2010年にABCニュース社長に就いて以来, 朝のニュース情報番組“Good Morning America”を視聴率トップに押し上げるなど,その手腕が評価されていた。

米衛星放送2位のDishが1位のDirecTVに合併を打診

アメリカで衛星放送を行っている2社のうち,2位のDish Networkのチャーリー・アーゲン会長が,1位のDirecTVのマイク・ホワイトCEOに合併の可能性について打診したと,3月26日のBloombergが伝えた。それによると,ケーブル事業者1位のComcastが2位のTime Warner Cableを買収する交渉が進んでいることなどを受けて,アーゲン会長が衛星放送事業全体の強化を望んでいるとしている。これに対してホワイトCEOは態度を明らかに しておらず,合併するにしても規制当局の認可がおりる可能性は低いとみられている。取材に対して,両社はコメントしないとしている。

メキシコ,放送・通信の改革法案国会提出

メキシコでは,放送と通信の改革を目的とする法案が3月24日,国会に提出された。これは2013年に放送・通信の寡占解消を図る目的で憲法が改正されたことを受けた動きで,規制監督機関であるIFT(連邦通信機関,Ifetelとも呼ばれる)の権限を強化し,大手事業者への規制を強めることを狙いとしている。規制の主な対象となるのは,市場占有率でいずれも5割を超える通信事業者AméricaMóvilと放送事業者Televisaである。法案には,大手事業者の通信料金を認可制にしたり,回線網などのインフラを他の事業者に利用させて競争をうながすことなどが盛り込まれている。法案が成立すれば同国の放送・通信市場を大きく変える可能性があると指摘されている。