放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC iPlayer,コメディー新作先行サービスを提供

イギリスの公共放送BBCは1月16日,子ども向け新作コメディー番組“Hank Zipzer”を放送前に見逃しサービスのBBC iPlayerで提供すると発表した。この番組は,30分13本シリーズで,12歳の失読症の少年Hankの日常生活を描くもの。BBCの監督機関であるBBCトラストは,最大40時間までテレビ番組のiPlayer先行サービス実験を許可している。先行サービスは1月21日,放送は28日に開始。

英Ofcom,新たにローカルテレビ免許を付与

イギリスの放送と通信を規制監督するOfcom(Office of Communications)は1月23日,ウェールズ南部のスウォンジを中心とした英語とウェールズ語の2つのローカルテレビ番組サービス免許をBayTVに付与した。Bay TV Swanseaは,週末を除き1日1時間のローカルニュースを提供する一方,地元の大学や役所と協力してインターンシップや実習プログラムを計画している。同局の番組局長はBBCWalesと商業テレビのHTV Walesの両方に勤務した経験を持つ。Ofcomによるローカル免許の付与は合計25件となり,2013年11月にはイングランドのグリムズビーで最初のローカルテレビが開局した。

仏公共放送,テレビ視聴シェア低迷続く

フランスの民間の調査会社Médiamétrieは2014年1月6日,2013年のテレビの視聴シェアを発表した。フランスでは新興の地上デジタルチャンネルが次々と開設され,既存の公共放送と商業放送は2006年以降,相対的に視聴シェアを下げ続けてきた。しかし商業放送最大手のTF1の2013年のシェアは前年より0.1%増えて22.8%となり,7年ぶりにプラスに転じた。一方,公共放送フランステレビジョンの総合チャンネルF2は0.9%下がって14%,ローカル放送を担うF3は0.2%下がって9.5%と引き続き視聴シェアを下げた。

独KEF,公共放送の広告放送廃止案について見解

ドイツの公共放送の財源需要を審査する独立委員会KEFは1月28日, 公共放送のARDとZDFが現在行っている広告放送とスポンサーシップを廃止した場合の影響について州政府に報告を行った。KEFによれば,ARDとZDFが広告放送とスポンサーシップを全廃した場合,毎月1.26ユーロ(約180円)を放送負担金で補する必要がある。全廃ではなく部分的に廃止にした場合は,補額は11~80セント(約15~10円)になる。州政府は現在,2013年12月のKEFの答申に基づいて,2015年からの放送負担金の値下げについて検討を行っているが,同時に公共放送の広告放送とスポンサーシップの廃止についても検討を進めている。

伊政府,RAI受信料の2014年据え置きを決定

公共放送RAIの受信料額決定を所管するイタリア経済開発省(MiSE)は,年末の省令で2014年1月からの受信料を現行の年額113.50ユーロ(約1万6,000円)に据え置く決定をした。据え置きの理由として,財政危機の中で支払者にこれ以上の負担を強いるべきでなく,約25%にのぼる不払い者に対する対策を講ずるべきとし,政府としても協力を行うとした。現行法では,翌年1月からの受信料額について,毎年の公共料金や賃金の指標となる計画インフレ率と,重要イベントや技術投資などを考慮して,前年の11月末までにMiSEが決定することになっている。RAI側は最低でもインフレ率分の値上げを要求,6月にはサッカーワールドカップ・ブラジル大会の経費も見込まれるため,省の決定を不当として行政裁判所に訴える構えである。

ジャーナリスト連盟,ギリシャ政府を非難

国際ジャーナリスト連盟は2014年1月17日,閉鎖された公共放送に代わる新しい公共放送の立ち上げについて,ギリシャ政府の対応を非難する声明を発表した。ギリシャ政府は2013年6月,緊縮策の一環として公共放送ERTの閉鎖を突然発表し,2,650人の職員を解雇した。政府は当初2014年初頭に新公共放送NERITを立ち上げるとしていたが,3月に延期されたうえ,政府の設立計画でNERITの職員数が130人余りしか予定されていないことが明らかとなった。ジャーナリスト連盟などは,「これでは,独立性と多様性を達成できず,首都アテネの動向しか伝えられない質の低い放送しかできない」として政府を強く非難している。