放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米ビデオレンタルのBlockbuster,全店閉鎖へ

衛星放送大手Dish Networkは11月6日,傘下のビデオレンタルチェーン,Blockbusterの300店舗を2015年1月までに全て閉鎖することを明らかにした。同社は最盛期の2004年には全米で9,000店が営業していたが,その後Netflixに代表される郵送によるレンタルや,最近ではネット配信のストリーミングサービスに押されて利用者が減少し,2010年9月に倒産,2011年にDishが買収していた。DishのクレイトンCEOは,「苦渋の決断だが,利用者の多くは明らかにデジタル配信に移っている」と述べた。独立した約50店は営業を続ける。

米FCC,外資による放送局の所有比率を緩和

FCC(連邦通信委員会)は11月14日,現在25%を上限としている外国資本による放送局の所有比率を緩和することを,5人の委員の全員一致で承認した。緩和の具体的な条件についてはケースバイケースで判断する。FCCは,これによりローカルの小規模局や,マイノリティーや女性が所有する放送局などの存続につながるとしている。NAB(全米放送事業者協会)は,地域のニュースや番組を提供する各地の放送局にとって,資本の強化につながる朗報だと歓迎している。これはFCCの新しい委員長にトム・ウィーラー氏が就任して,初めての重要政策の決定となった。

米・公共放送のアーカイブ・プロジェクトがスタート

CPB(公共放送機構)は11月14日,全米の公共放送局が保管する4万時間に及ぶテレビ・ラジオの番組をアーカイブ化する作業を開始したと発表した。「公共放送アメリカン・アーカイブ」と名付けられたプロジェクトは,代表的な公共局120局から届けられた番組や素材を議会図書館とボストンの公共放送WGBHでデジタル化した後,保管・公開するもの。この中には,大統領選に立候補したJ.F.ケネディ氏の1960年のインタビューや,『スター・ウォーズ』第1作製作直後のG.ルーカス監督のインタビューなどの他,全米各地の歴史を伝える貴重な番組も多く含まれており,将来はオンライン上で公開することも計画されている。

米・著名キャスターのK.クーリック氏,Yahooへ

Yahooのメリッサ・メイヤーCEOは11月25日,著名キャスターのケイティ・クーリック氏を“グローバル・アンカー”として同社に迎えると発表した。クーリック氏はNBCの朝の人気番組“Today”の司会やCBSの夕方のニュースの単独アンカーなどを経て,現在はABC で特別記者として取材やインタビューを行っている。同氏の抜擢は,メイヤー氏がCEOに就任以来進めるYahooの組織立て直しの一環と見られる。メイヤーCEOは,経験豊かな同氏の加入が報道分野の強化につながるとしている。

中南米で浸透するオンライン動画視聴

アルゼンチンやブラジル,メキシコなどの中南米主要国ではインターネットユーザーの大多数がオンラインで動画視聴を楽しんでいるという調査結果が発表された。アメリカの調査会社comScoreが10月30日に発表した。それによると,アルゼンチンではネットユーザーの96%,ブラジルでは86%がオンラインで動画を視聴している。両国ではSNSの利用者も多く,アルゼンチンではYouTubeなどGoogle社の動画サイトのユニークユーザーが1,500万を超えている。

アルゼンチン最大のメディア企業分割へ

メディアの寡占状態解消を目的としたメディア法の合憲性をめぐって4年に及ぶ争いが続いていたアルゼンチンでは,最高裁が2013年10月に同法を合憲とする判決を下した。それを受けて最大のメディア企業グループClarínは11月4日,事業存続を図るため自らを6つの会社に分割する方針を発表した。メディア法ではひとつの企業が所有できる放送事業免許の数が制限されていることから,今回のClarínの動きは企業分割によってメディア法の要件を満たすことを目的としている。Clarínは,メキシコのTelevisaやブラジルのGloboと並ぶ中南米最大級のメディア企業グループで,ここ数年,政府との対立を深めていた。