放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

BBC会長「地域ラジオで女性の積極登用を目指す」

イギリスの公共放送BBCのトニー・ホール会長は,8月22日,エジンバラで開かれた国際テレビ祭のパネルディスカッションで,BBCローカルラジオに女性を積極登用する意向を示した。この中で,ホール会長は,番組は「聴取者層を反映したものでなければならない」として,2014年度末までに,全ローカル局の朝のメイン番組のキャスターの半数を女性にするという目標に言及した。BBCラジオの全国放送でも,朝の看板番組『トゥデイ』のキャスターの1人に今秋から初めて女性を抜擢した。

仏公共放送TV,合理化で600人の希望退職募る

政府に合理化を迫られている公共放送フランステレビジョンは,今後合わせて600人の希望退職を募る計画を発表した。フリムラン社長が行った8月27日の記者会見によれば,広告の減収や政府の補助金削減によってフランステレビジョンは2013年度,4,000万ユーロ(52億円)の赤字が見込まれる。政府は2015年度には収支均衡となるよう求めているが,そのためには,2015年度に年間2億7,500万ユーロ(357億円)の経費削減を達成することが必要となる。それに向けて今後600人の希望退職を募り,これによって2015年度には職員数が現在より500人程度少ない9,750人の体制を実現したいとしている。

仏最大手ケーブルTV事業者,IPTV市場に参入

フランス最大手のケーブルテレビの事業者,Numericable(ニューメリカーブル)は,ブロードバンド回線を通じてテレビ番組を配信するIPTVサービスの市場に2013年8月から参入した。ニューメリカーブルのサービスは,電話とインターネットそれにIPTVがセットになったいわゆるトリプルプレーを提供。フランスは世界最大級のIPTV市場で,加入世帯は2013年3月時点で約1,440万世帯に達している。

独上級裁,ケーブル大手同士の合併認めず

ドイツの上級裁判所は8月14日,大手ケーブルテレビのユニティメディアとカーベルBWの合併を認めない決定をした。ユニティメディアは親会社の米リバティ・グローバルが買収したカーベルBWと2012年7月に合併したが,上級裁は合併を認めた連邦カルテル庁の決定を無効とした。

独商業テレビRTL,ミュンヘンで地上デジタル放送終了

ドイツの商業放送RTLグループは7月31日,バイエルン州南部のミュンヘン都市圏で,同グループ傘下のテレビチャンネルRTL Television,Vox,Super RTL,RTL IIの地上デジタル放送を終了した。同グループは2013年1月,2020年以降も放送用周波数が確保されるかどうかが不確定なこと,地上放送は視聴者が少ないため今後も採算の取れるビジネスモデルが構築できる見込みがないことを理由に,2014年末までに全国で地上デジタル放送を終了する意向を示していた。

独,障がい者の放送負担金支払い義務は合憲

ドイツのアンスバッハ行政地方裁判所は7月25日,重度の障害をもつ人に通常の3分の1の額の放送負担金を課すのは憲法に違反しないとの判断を下した。原告は,脳梗塞で倒れた後,自宅で息子の介護を受けて生活している89歳の女性で,放送負担金制度導入前までは受信料を全額免除されていた。2013年からの新制度では,従来は免除だった視聴覚障がい者や重度の障がい者の世帯にも通常の3分の1の額の支払い義務を課している。

伊,受信料の負担金化より不払い対策を先行

イタリアの放送・通信を所管する経済開発省のカトリカラー副大臣(兼放送通信局長)は,8月1日,議会の両院合同委員会での聴取において,公共放送受信料の負担金化の可能性について触れ,将来的には全世帯から徴収する負担金へと性格が変わる可能性もあるものの,現時点では受信料制度を維持し,「看過できないレベルにまで達した」不払いを少しでも回収できる具体策を講じることが重要との考えを示した。RAI受信料の不払いは,最新の試算では率にして27%,年額にして約5億ユーロ(約650億円)にのぼるとみられる。同副大臣はまた,数か月以内に「受信料の将来像」を検討する円卓会議を開設したいと述べた。