放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米FCC委員にM.オライリー氏を指名

オバマ大統領は8月1日,空席になっていたFCC(連邦通信委員会)の共和党委員に,連邦議員の政策アドバイザーなどを長く務め,通信や技術に詳しいマイケル・オライリー氏を指名した。FCC委員は5人のうち2人が空席で,委員長には民主党のトム・ウィーラー氏が5月にすでに指名されている。FCCの人事は上院の承認が必要だが,議会が夏休みのため正式な就任は秋になるとみられる。両氏とも問題なく承認される見込みで,FCCは数か月ぶりに5人の委員が揃うことになる。

米タイムワーナーケーブル,CBSの再送信を長期間停止

大手ケーブル事業者のタイムワーナーケーブル(TWC)は,地上ネットワークのCBSと再送信料の契約更新交渉がまとまらず,8月2日から1か月間,ニューヨークやロサンゼルスなどで配信を停止し,300万世帯以上が影響を受けた。CBS側が,1世帯当たりの再送信料の受け取りを倍の2ドル強にすることや,デジタルコンテンツをNetflixなどネット動画事業者にも配信する権利を要求したのに対し,TWC側が難色を示したためとみられる。ニューヨーク・タイムズは,9月2日に双方が合意に達し,CBSの放送が再開されると伝えた。合意の詳細は明らかにされていないが,同紙はCBSが再送信料の値上げとデジタルコンテンツの配信権を獲得し,TWCが譲歩した模様だと伝えた。ドル箱のフットボールシーズン前に,解決を急いだという見方が強い。

米公共ラジオNPR会長が辞意を表明

アメリカの公共ラジオNPRトップのゲイリー・ネル氏が8月19日,会長を辞任する意向を明らかにした。ネル氏は,前任者が引責辞任して半年余りの会長不在の後,2011年12月にセサミワークショップCEOからNPR会長に就任した。NPRではそれまで不祥事などで幹部の辞任が相次ぎ組織が動揺していたことから,同氏は放送内容の向上と組織の安定に尽力した。ネル氏はナシナル・ジオグラフィック協会から代表就任を打診されたことを明らかにし円満な退任であると述べたが,NPRは再び新たなトップ探しを行うことになる。

米ディズニー/ABC,人員削減へ

米紙ロサンゼルス・タイムズは8月21日,ディズニー/ABCテレビジョングループが人員削減を計画していると報じた。ABCネットワークなどを含むグループ全体の従業員は7,600人で,このうち175人が削減されるという。ABCネットワークは2012~13年期の18歳から49歳の年齢層の視聴率が前年比で8%減少し,国内4位と低迷している。またディズニー/ABCテレビジョングループの2013年第2四半期の事業収入は,制作費高騰と広告収入の減少で前年同期比5,500万ドル(55億円)減少した。

米,家庭でのブロードバンド利用に格差

アメリカのピュー・リサーチセンターは8月26日,2013年5月時点でアメリカの成人の7割が家庭でインターネットのブローバンドサービスに接続できる環境にあるという調査結果を発表した。接続できる割合が高いのは,50歳以下,大卒,世帯年収5万ドル(500万円)以上などの層。一方で,成人の1割はブロードバンドへの接続手段がスマートフォンだけに限られ,非大卒者や年収3万ドル以下などの層に多い。

ブラジル,ネット報道で注目集めるジャーナリスト集団

ブラジルでは6月以降,交通機関の運賃値上げに端を発する大規模なデモが各地で行われたが,インターネットでデモの実況中継を行ったグループMídia Ninja(メディア・ニンジャ)が注目を集めている。デモの現場でスマートフォンを使って映像を撮影し,そのままフェイスブックで配信したことで,既存のメディアにはない映像の臨場感が評判となった。Ninjaとはポルトガル語の「不偏不党のストーリー・ジャーナリズム・行動」の略称で,メンバー2,000人が無給で活動している。海外のメディアでも紹介され注目度が高まる一方,資金源など組織の不透明さも指摘されている。