放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾,公共テレビ理事会が新体制へ

台湾の公共テレビ(PTS)は6月25日,新理事選出のための審査委員会を開催し,政府の文化部が提案した4人の理事候補全員を承認した。公共テレビの理事は,選出に当たって立法院(国会)の各政党が推薦する審査委員の4分の3以上の承認が必要とされるが,過去2年あまりの間は,野党民進党系の審査委員が与党国民党に近いとされる理事候補に拒否権を行使,2012年8月に行われた第三次審査委員会でも承認された理事は過去2回と合わせて13人で,定数の17人~21人に足りなかった。今回の審査委員会に向けて文化部は政党色が薄い人物4人を提案,全員が4分の3以上の賛成票を獲得した。これによって公共テレビは長期間空転してきた理事会が正常化,今後は公共放送グループの再編やHD放送の推進などの課題に取り組むことになる。

韓国,スマート広告産業の育成強化へ

メディア振興政策を管轄する韓国政府の未来創造科学部(以下,未来部)は6月3日,スマートフォン向けの広告など,今後急成長が予想される「スマート広告」産業の育成のため,2017年までに650億ウォン(約57億円)を投じることを明らかにした。スマート広告とは,スマートフォン,タブレット端末,インターネットなどを介して提供される広告を指す。未来部では,スマート広告制作のためのインフラの拡充,次世代の広告技術開発,専門人材の養成などを目指すとしており,具体的には,現在建設中のデジタル放送コンテンツ支援センターや視聴者メディアセンターなどにスマート広告制作施設を作り,中小の広告会社が安い費用で使えるようにすることなどが予定されている。スマート広告を巡っては,未来部と韓国放送通信委員会(KCC)の業務分担が明確になっておらず,今回未来部は,KCCとの十分な議論を経ないまま,先手を打つ形で育成強化に乗り出すことになった。

タイ,主要局のアナログ周波数帯域返還期限を繰り上げ

タイの主要英字紙『バンコク・ポスト』は6月18日,タイ国家放送通信委員会(NBTC)が無料の地上テレビ局を運営する3つの機関に対し,デジタル化に伴うアナログ周波数帯域の返還を当初の予定より5年前倒しで行うよう求めたと伝えた。タイでは,地上テレビ放送のデジタル化が2015年から順次始まる予定だが,報道によると政府は,チャンネル5を運営するタイ王国陸軍,チャンネル9を運営するMCOT社,それに国営テレビNBT(旧称チャンネル11)を運営する政府広報局の3機関について,従来は10年以内だったアナログ周波数帯域の返還期限を5年以内に変更した。

インド,視聴率調査会社に商業局が圧力

国内唯一の視聴率調査会社タム(TAM Media Research)が,調査対象を大都市以外に拡大したのを受け,6月中旬現在,大都市に強いStarやZee,Sonyなど大手チャンネルの大多数がタム社との契約打ち切りを表明する事態となっている。インドでは,10月1日からテレビの広告放送が1時間当たり12分以内に制限されるため,各局はCMの時間当たり単価を引き上げる必要に迫られている。ところがタム社が最近,公共放送ドゥールダルシャン(DD)を運営するインド放送協会の要求を受け入れ,これまで人口10万人以上の都市に限定していた調査対象をそれ以下の都市の世帯にも拡大したことから,大都市に強い商業テレビ局の視聴率が下がり始め,各局からタム社への反発が出ていた。

インド,携帯端末向けテレビに新たな計画

インドの主要メディアは6月2日,公共放送機関インド放送協会傘下のテレビ局ドゥールダルシャン(DD)が,携帯端末向けテレビ放送を,4大都市圏を含む10都市で年内にも開始する計画を進めていると伝えた。報道によると,技術規格はヨーロッパ方式のDVB-T2を採用し,DDのチャンネルを中心に20チャンネルを無料で放送,将来少なくとも40都市にまで拡大するとしている。DDは2007年5月,DVB-H方式による携帯端末向け地上デジタルテレビの試験放送を首都デリーで始めたが,電波の到達距離が半径10キロと短いこともあって大きな進展が見られなかった。今回採用されたDVB-T2の場合,高画質の映像が半径90キロまで送信可能とされている。