放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米,成人のスマートフォン所有者過半数に

アメリカのピュー・リサーチ・センターは6月5日,同国の18歳以上の成人の56%がスマートフォンを所有しているとする調査結果を発表した。スマートフォン所有者の割合は2011年の35%,2012年の46%から上昇を続け,初めて過半数に達した。25歳から34歳の年齢層では所有者の割合が81%に達して最も高く,若い世代で普及が進んでいる。一方で,成人の10人に1人は,携帯電話を全く所有していないことも明らかになっている。

米PBSニュースアワー,人員削減へ

アメリカの公共放送PBSを代表するニュース番組『ニュースアワー』で,7月からスタッフ削減と事務所の閉鎖を行うとする内部メモが送られたことを,6月11日のニューヨーク・タイムズが伝えた。それによると,番組を制作するマクニール・レーラー・プロダクションは,企業からの協賛金などの収入が減ったため,バージニア州の本部スタッフ100人の約1割を解雇し,デンバーとサンフランシスコの事務所も閉鎖するとしている。それを補うため,取材班の機動性を高めるとともに,全米各地のフリーのビデオジャーナリストとの連携を強めることにしている。

米,歯止めのかからない新聞社の記者減少

2012年に米国内の新聞社で働くフルタイムの記者や編集者は前年より2,600人,6.4%減少して3万8,000人となった。米国ニュース編集者協会(ASNE)が6月25日に明らかにしたもので,1978年の調査開始以来,初めて4万人を割った。2000年には5万6,400人いた記者が,10年余りで3分の2に減ったことになる。全米1,382社のうち978社が回答したもので,USAトゥデイやLAタイムズなどは回答していない。これについてピュー・リサーチ・センターは,新聞社を離れた記者がネット上で非営利のニュースメディアを作る動きが見られるが,その多くが5人以下の小規模なものにとどまっているとコメントしている。

米ニューズ・コープが2つに分社

アメリカの複合メディア企業,ニューズ・コープが6月28日,出版部門の「ニューズ・コープ」と娯楽部門の「21世紀FOX」の2つの会社に正式に分離した。同社はこれまで数年間,収益が伸び悩む出版部門の切り離しを株主から求められ,2011年には傘下の英タブロイド紙による盗聴問題が大きなスキャンダルとなったことから,2012年6月に分社化を発表し,2013年5月には取締役会も承認した。「ニューズ・コープ」には,Wall Street JournalやDow Jones,出版のHarperCollinsなどが属し,「21世紀FOX」には,地上放送のFOXネットワークやFOXのケーブルニュースチャンネル,映画の20世紀FOXなどが含まれる。

グアテマラ,地デジに日本方式採用決定

中米のグアテマラは5月30日,地上デジタルテレビ放送の規格として日本方式(ISDB-T)の採用を決定した。海外での日本方式の採用は14か国目で,中米ではコスタリカに次いで2か国目となる。日本政府は,同じく日本方式を採用しているブラジルやコスタリカの政府と連携してグアテマラ政府に対し日本方式の採用を働きかけていた。グアテマラでは地震やハリケーンなどが多いことから,緊急警報放送や携帯端末向け放送におけるISDB-Tの技術的優位性が決定の大きな要因になったとみられている。

メキシコ,放送・通信に関する憲法改正成立

メキシコでは,放送・通信に関する憲法の規定を改正する法案が5月に国会を通過したのを受け,ペニャ・ニエト大統領が6月10日,憲法改正を正式に承認した。憲法改正は,大企業の寡占状態にある同国の放送と通信市場において新規事業者の参入を促し,競争を促進してサービスの向上を図る狙いがある。外資への規制も緩和され,通信事業では外資の資本参加が100%まで,放送事業においても49%まで認められる。強い権限を持つ独立規制機関Ifetel(連邦通信機関)も設立されることになった。