放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英ケーブルテレビVirgin,米リバティが買収

イギリス国内でケーブルテレビやブロードバンド接続,電話サービスを提供するVirgin MediaとアメリカのLiberty Globalは2月6日,Liberty がVirginを150億ポンドで買収することで合意したと発表した。Liberty Globalはすでに,ドイツ,オランダ,スイス,ベルギーのケーブルテレビを買収している。

英保守党,特許状によるプレスの監督機関設置を提案

イギリスの連立与党の保守党は2月12日,新聞の自主規制機関であるPCC(新聞苦情処理委員会)の監督機関として,「承認パネル(recognition panel)」とパネルの執行機関としての「理事会(Board)」を特許状で設置する案を公表した。新聞規制の強化を支持する与党自由民主党や,報道被害者救済のためには法律による監督機関の設置も主張する野党労働党は,この草案に対し全党による議論のたたき台になると述べるにとどまり,賛否のコメントを加えず慎重な姿勢を示した。

英モバイル機器でのTV視聴はまだ限定的

イギリスでの2012年のテレビ視聴時間は,平均1日4時間1分で,10年前より27分増加した。BBCのiPlayerやデジタル録画サービスの普及で,時差視聴が増える一方で,スマートフォンやタブレットなどモバイル機器でのテレビ視聴は全体の1.2%に過ぎないことがわかった。ITVやBSkyBなど民放各社が出資する市場調査会社が行った調査で明らかになったもので,同社では,ダウンロードした番組をモバイル機器で移動中に視聴する人が,今後急激に増加すると予想している。

仏調査,公共放送負担税「高すぎる」

民間の調査会社メディアメトリが2月中旬に行った世論調査によると,受信料にあたるフランスの公共放送負担税が高すぎると答えた人は全体の70%に及んだ。フランスの2013年度の公共放送負担税は,2012年度より6ユーロ値上げされて131ユーロ(約1万6,000円)とすることが2012年に国会で議決されている。調査ではこのほか,46%の人が,公共放送会社が負担税と広告収入と国からの補助金とを混合財源としていることを支持した。しかし80%の人が,公共放送負担税が,フランステレビジョンやラジオフランスなど合わせて5つの公共放送会社の財源となっていることを知らなかった。

独ARD,視聴覚障害者向けサービス拡大

ドイツの公共放送ARDは2月5日,2013年1月に総合編成の第1テレビで視聴覚障害者向けの字幕サービスが提供された割合は総放送時間の78%で,前年平均の49.1%から大幅に増加したと発表した。2013年1月から実施されている放送負担金制度では,それまで受信料が全額免除されていた視聴覚障害者からも3分の1の額の負担金が徴収されている。こうした背景からARDは,今後もサービスを拡大し,2013年末までに第1テレビの再放送以外の全番組に字幕をつけ,またすべてのドラマ,映画,自然・動物ドキュメンタリー番組に音声解説サービスを提供するとしている。

独ZDF,全チャンネルのネット同時配信開始

ドイツの公共放送ZDFは2月12日から,総合編成チャンネルのZDF,専門チャンネルのZDFneo,ZDFkultur,ZDFinfoの放送のインターネット同時配信を開始した。ZDFは,これまでもニュースやドラマなど多くの番組のネット同時配信を行ってきたが,今回これを全番組に拡大した。

伊AGCOM,総選挙報道違反で2つのテレビ局に罰金

イタリアの放送・通信分野の独立規制機関AGCOMは2月22日,民放Telecom Italia Mediaと衛星有料テレビSky Italiaに対し,それぞれ15万ユーロと5万ユーロの罰金を科すことを決定した。これは,選挙運動期間中,ニュースなどの情報番組ですべての政治主体を平等に取り扱うよう定めた法律の規定に違反したというもの。同法律はこのほか,投票前15日間の投票動向に関する世論調査の公表禁止や,各候補者による政治的メッセージの放送枠の平等配分などを細かく規定している。しかし,各候補者がツイッターやフェイスブックを利用してのメッセージの発信は法律の適用外とされており,現行法の矛盾が指摘されている。