放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米ローカルテレビ,ニュースの放送時間拡大

アメリカのラジオ・テレビ・デジタルニュース協会(RTDNA)とホフストラ大学は7月12日,テレビとラジオのニュースに関する調査報告を発表した。それによると,アメリカの典型的なテレビ局は1日あたり5時間半のニュースを放送しており,過去3年間で1時間増えている。これは,ニュース番組への政治広告の需要が高まっているため,各局がニュース時間を増やしていることによる。政治広告は投票活動に直接影響するローカルテレビに集中するため,大統領選挙で激戦が予想されている地域のテレビ局にとって,ニュース番組は大きな収入源になっているという。

米マイクロソフト,NBCとの契約解消

マイクロソフトは7月15日,NBCと16年にわたって共同で運営してきたMSNBC.comのサイトの契約を解消したと発表した。今後,このURLにアクセスすると自動的にNBCNews.comに接続される。両社は,ITとニュースという異業種間の合弁事業の先駆けとして成長してきた。しかし,提携当初とはメディアを取り巻く環境が激変し,制約の多い提携関係から,多様なメディア連携を目指すために契約を解消したとしている。今後,マイクロソフトは独自の報道サイトを設け,NBCも新たな企業との協力を模索することにしている。

米ヤフーのトップにグーグルのメイヤー女史が就任

業績が低迷している検索サイト大手のヤフーは7月16日,新しいCEOにライバルのグーグル幹部のメリッサ・メイヤー氏が就任すると発表した。メイヤー氏は37歳,グーグルの20番目の社員で創業期から関わり,最初の女性エンジニアとして,簡素なトップページの開発や,Gメール,グーグルマップなど,同社の主だった機能の立ち上げと運営に中心的に携わってきた。シリコンバレーで,最も有能な女性エグゼクティブのひとりとして知られる。ヤフーは,グーグルやフェイスブックなどに業績面で押され,さらに前CEOの学歴詐称問題で経営の混乱が続いたことから,新たなトップを迎えて巻き返しをはかる狙いがある。

米AP通信,ツイッターなどの利用ガイドラインを更新

AP通信は7月24日,記者がツイッターやフェイスブックなどSNSを利用する際の新しいガイドラインを発表した。それによると,これまでは独自取材したニュースが配信された後にしかツイッターなどに書き込みができなかったが,今後は担当のニュースデスクに必要かつ詳細な情報を伝えれば,記事として配信される前であってもツイッターなどに情報を発信することが可能であるとしている。APでは,居場所を特定することや,むやみに「リツイート」することに注意を促しつつも,記者がアカウントを取得することを奨励している。

米CNN社長,視聴率低迷で辞任へ

アメリカのCNNワールドワイドのジム・ウォルトン社長は7月27日,年末に辞任する意向を明らかにした。アメリカ国内でCNNの視聴率が低迷する中,責任を問われて辞任に追い込まれた。ウォルトン氏は10年近くCNNの社長を務めてきたが,最近のCNNはニュース専門チャンネルの視聴率競争でフォックス・ニュースとの差が広がり,MSNBCにも追い抜かれるなど低迷が続いている。同社の4‐6月期のプライムタイムの視聴率は過去21年で最低となった。

米,NBCのオリンピック中継に批判高まる

アメリカ国内でロンドン・オリンピックの中継放送を行ったNBCユニバーサルが,中継方法をめぐって国民の批判にさらされた。ロンドン・オリンピックでは,NBCは11億8,000万ドル(920億円)で放送権を入手したが,米国内では,開会式をはじめ注目度の高いイベントを生放送ではなくプライムタイムに合わせて時差放送した。NBCは広告主らに配慮して視聴率確保のため時差放送を行ったが,これに対する反発の声がソーシャルメディアなどで上がった。しかし,開会式などの視聴者数は,オリンピック中継放送史上最高を記録している。