放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,ロンドン五輪で3D中継を計画

イギリスの公共放送BBCは2月15日,7月に開催されるロンドン五輪放送のなかで,開会式,閉会式,男子100メートル決勝,「その日の見どころ」について3Dによる実験中継を行うことを発表した。このサービスは,3Dテレビがあれば誰でも無料で受信できる。なお,BBCは2011年のウィンブルドン・テニスの中継でも3Dの実験を行った。

英BBCトラスト,ローカルテレビ基金の概要を発表

イギリスの公共放送BBCは2月24日,2012年5月に免許募集が開始される予定の「ローカルテレビ」を支援する資金提供に関する枠組みを発表した。これは,政府が進めるローカルテレビの導入計画に対し,BBCが受信許可料から2億5,000万ポンド拠出するという取り決めを実行するため。発表された諸条件によると,この資金の多くは,ローカル多重周波数帯のネットワークの建設に充てられること,BBCからの資金の供給は,2013年4月から2016年12月末までの期間であること,BBCの監督機関であるBBCトラストが,計画の吟味と資金割当の責任を負うことなどが明らかにされた。

英BBCの国際放送,開始80年

イギリスの公共放送によるラジオ国際放送BBC World Serviceは,2月29日に放送開始80年を迎えた。記念日当日には,World Serviceの制作や編集現場に視聴者を招き,ニュース制作の舞台裏を公開するイベントや,World Serviceの役割や視聴者の期待について,放送やオンライン,ソーシャル・メディアを利用した視聴者参加のイベントを行った。

独公共放送,「放送負担金」制度の周知活動開始

ドイツの公共放送ARD,ZDF,ドイチュラントラジオは2月1日,これまでの受信料に代わって2013年から導入される「放送負担金」制度について,変更点などを解説した広報用ウェブサイト(www.rundfunkbeitrag.de)を開設した。支払い額の変更が見こまれる企業の事業所や,これまでラジオ受信機のみ所有していた世帯に対しては,公共放送が変更通知の書類を直接郵送する。大部分の世帯については,2013年からも支払い額は月額17.98ユーロ(約2,000円)で変更はない。

伊RAI受信料,インターネット接続PCは対象外

イタリア政府は2月21日,放送を受信できるPCや携帯端末などのデジタル機器は,公共放送RAI受信料の対象外とする方針を明らかにした。これはRAIが,事業所等のインターネットに接続したPC等も受信料の対象であるとして,テレビは設置していないがインターネットに接続したPC経由で放送を受信していると思われる事業者宛に,今年に入り「特別受信料」の支払い依頼書を送付したことに端を発する。これに対し,業界団体や与野党などから激しい批判が殺到したため,RAIと所管官庁である経済開発省との間で対応を協議していた。その結果政府は,同措置は国内のデジタル化を阻むものであり,これらの機器は受信料の法的根拠である1938年第246号暫定措置令が規定する支払いの対象には当たらないとの解釈を明らかにした。

スイス公共放送,衛星HDTVチャンネルを新設

スイスの公共放送SRG SSRは2月29日,既存の6つのテレビチャンネルの衛星HD放送を開始した。開始したのは,ドイツ語チャンネルのSF 1とSF zwei,フランス語チャンネルのTSR 1とTSR 2,イタリア語チャンネルのRSI LA 1とRSI LA 2である。これに伴い,普及宣伝と試験チャンネルの性格を持つHD Suisseの提供は1月31日に終了した。

欧州評議会,公共放送の独立強化を宣言

47か国が加盟する欧州評議会は,公共メディアの独立性の強化などを加盟国に呼びかける閣僚委員会宣言を2月16日に採択した。宣言では,公共サービスメディアは技術の進歩によって双方向サービスなど新しい業務の機会を与えられており,これに適合したガバナンスのシステムに刷新する必要があるとしている。そのうえで,独立性,透明性,説明責任,効率的な経営を実現しなければならないとしている。宣言では,いくつかのメディアが,政府と強く結びついた国営放送から,真の公共放送メディアへの移行を完了する必要があると指摘している。