放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英Ofcom,イラン国営Press TVの免許取り消し

イギリスの放送免許の付与を担うOfcom(Office of Communications)は1月20日, イラン国営の英語放送Press TVの放送免許を取り消した。理由としてOfcomは,Press TVが番組コード違反による10万ポンドの罰金の支払いに応じていないことや,放送免許人は放送の編集者であることを条件とするが,編集権はテヘランの本部が持っていることなどを挙げている。Ofcomは改善を求めたが,Press TVから返答はなかったとしている。

英BBC,衛星放送Skyと提携しiPlayerを提供

イギリスの公共放送BBCと衛星放送事業者のBSkyBは1月30日,Skyが提供するブロードバンド・サービスのSky Anytime+の利用者に向け,BBCの見逃しサービスBBC iPlayerを2012年内に無料提供することで合意した。BBCのiPlayerはすでに,パソコンだけでなく,ケーブルテレビや無料衛星放送,IPTV,携帯端末,ゲーム機でも利用可能となっており,今回のSkyとの提携によって,国内すべてのプラットフォームで利用可能となる。

仏フランステレビジョン,5%の職員削減計画

フランスの公共放送フランステレビジョン(FT)は,職員を今後4 年間で5%削減する方針を1月6日,明らかにした。これは中長期の経営計画にあたる目標手段契約が2011年11月22日,政府との間で調印されたのを受けて,FTの経営委員会が承認したもの。削減は経営計画最終年度の2015年度までに,長期契約職員の退職による自然減に加えて,現在全体の18%を占めている短期契約職員を15%にまで減らすことによるという。FTは5つのテレビチャンネルを持っており,2011年度末の職員数は合計1 万300人である。

仏Canal+,3D サービス停止

フランスの有料放送最大手のCanal+は,2010年6月に始めた3Dのサービスを,2012年1月24日に取りやめた。1年8か月で終わったCanal+の3Dチャンネルは,2万件の視聴契約しか集められなかった。3Dコンテンツの制作にはコストがかかり,ヨーロッパを覆う経済不況の影響もあって,3D作品の制作が同社の予測ほど増加しなかったことが背景にある。

独2013年からの受信料額据え置きを確定

受信料の改定額について州政府に答申を行う独立委員会KEFは,1月17日,2013年からの受信料額を現行の月額17.98ユーロ(約2,000円)で据え置くべきとの答申を行った。KEFによれば,公共放送のARD,ZDF,ドイチュラントラジオは,2013年から2016年までの4年間に,全体で3億1,590万ユーロの不足分を受信料値上げで埋め合わせる必要がある。これは月額18.35セント(約18円)の値上げに相当する。しかし2013年1月に実施される受信料の徴収方式の変更で,収入にどの程度影響が出るかを正確に予測できないため,さしあたり2年間は現行額を維持すべきだとした。

伊地上デジタル周波数割り当てを3か月凍結

イタリア政府は1月20日,デジタル移行後に空く周波数をデジタル放送事業者に新規で割り当てる計画を3か月間凍結すると発表した。これは,前ベルルスコーニ政権のもとで昨年秋に行われた「比較審査方式」による公募で,地上デジタル放送(DVB-T)向け5つ,新技術を用いた放送(DVB-HまたはDVB-T2)向け1つ,計6つの多重周波数帯を,あらかじめ決められた条件で,新規参入および既存の事業者に割り当てる計画だった。しかし,審査条件をめぐって申請事業者から提訴が相次ぎ,手続きが止まったままとなっていた。

デンマークTV 2,有料サービスに転換

デンマーク政府が全株式を所有する商業放送TV 2は1月11日,これまで広告を財源とし無料で放送してきたメインチャンネルTV 2を有料サービスに転換した。料金は月額10デンマーククローネ(約130円)となる。TV 2は2008年ごろから経営が悪化し,政府資金による救済策が行われてきたが,政府は2011年3月に事業立て直し策として有料サービスへの転換を決定した。ニュース放送時間量,視聴覚障害者へのサービス,デンマーク製作映画への投資などの公共サービス義務は今後も存続する。