放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,KCC委員長が辞任

イ・ミョンバク大統領の側近で,メディア行政を統括する韓国放送通信委員会(KCC)のチェ・シジュン(崔時仲)委員長が1月27日,緊急記者会見で辞任を表明した。その背景には,KCCでチェ氏の補佐役を務めてきた部下の贈収賄疑惑があるといわれており,最近は,この部下がチェ氏の代理として,国会議員らに贈賄を行っていた疑惑も指摘されるなど,チェ氏に辞任を求める圧力が強まっていた。

韓国,MBCで記者らが抗議のスト

地上放送局大手のMBCで1月25日,報道内容が政権寄りとなって,放送の公正性と信頼性が損なわれたとして,記者とカメラマンの大多数が幹部の辞任を求めるストライキに入った。彼らがニュース番組の取材,制作を拒否したことで,通常は50分間放送する看板ニュース番組『ニュースデスク』は15分間の放送となり,他のニュースも時間短縮や放送中止の事態に陥った。また,1月30日からはディレクターもストライキに加わり,番組の制作に多大な支障が出ている。

中国,香港で報道の自由が悪化

パリに本部を置く「国境なき記者団」は1月25日,2011年の世界の報道実態報告を発表し,中国と香港では報道の自由が急速に悪化していると指摘した。このうち中国は,179の国・地域の中で報道の自由度が174位と前年の171位からさらに後退,ネット規制が一段と強化された他,中国政府は外国の記者に対し国外追放などを示唆して政府にマイナスとなる記事を書かないよう脅していると指摘した。また香港も報道の自由度が前年の34位から54位に急落,記者が逮捕されたり殴られたりする事件が増えたとしている。

キルギス,国営放送を公共放送へ

キルギスの大統領広報官は2012年1月9日,アタムバエフ大統領が「キルギス公共テレビ・ラジオ放送協会」法に署名したことを明らかにした。2011年11月に議会で可決された同法は,これまで国営放送だったキルギスの国家テレビ・ラジオ放送協会を,公共放送機関として独立させるもので,公共放送の法的地位や目的,権限,責任とともに,その構成や運営方法などを定めている。公益を代表して新たな公共放送機関を監督する委員会は15人で構成され,議会,大統領府,市民の代表が等しい割合で参画し,経営責任者となる会長を選出することになっている。

シリア,取材中のフランス人記者が死亡

シリア中部の都市ホムスで1月11日,フランスの公共テレビFrance2 の記者を含む少なくとも7人がロケット砲の攻撃を受け死亡した。2011年3月にシリアで反体制デモが始まって以来,欧米のジャーナリストが犠牲になったのはこれが初めて。死亡したFrance2のジル・ジャッキエ記者はアサド政権支持派のデモを取材中だった。

NZ政府,年金受給者への地デジ移行補助策を発表

2013年11月のアナログ放送終了に向けて,ニュージーランド政府は1月24日,国内の年金受給者約5 万8,000人を対象とする地上デジタル放送移行への補助策を発表した。国内在住の75歳以上の高齢者や,障害者などを含む年金受給者に対し,既存の無料地上デジタル放送「Freeview」に対応した受信用セットトップボックスを無料で配付し,必要に応じてアンテナやパラボラを設置,使用法の学習支援サービスも提供する。このための予算は1,200~1,800万NZドル(約7億4,700万~11億2,000万円)とされ,政府は現在80%のデジタル放送の世帯普及率を,2013年5月には90%以上にすることをめざしている。

タイ,MCOTが国際TVチャンネルを計画

地上テレビChannel9や通信社TNAを運営する政府系企業MCOTのソラチャック・カセムスワン新会長が1月11日,タイの文化を輸出し,国際的なブランドイメージを構築するためCCTVやアルジャジーラ,BBCをモデルに国際TVチャンネルを開設する計画を明らかにした。タイには現在,海外在留タイ人向けの国際TVチャンネルとして,TGN(Thai TV Global Network)がある。