放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英アナログ放送終了,2012年10月24日に

イギリスのデジタル放送を推進する「デジタルUK」は10月14日,地上アナログ放送終了を2012年10月24日に決定したと発表した。イギリスでは,2008年から地域ごとにデジタル移行を進めており,1,200万人が影響を受けるロンドンでは2012年4月4日と4月18日の2段階に分けてアナログ放送を終了する。そして10月24日,最後の北アイルランドをもって,全国で地デジ移行が完了する。

英BBC,新協定を締結しS4Cを支援

イギリスの公共放送BBCは10月24日,ウェールズ語専門サービスのS4Cとの間で2016年度まで有効な協定を結び,支援額を決定した。S4Cは政府助成金で運営されてきたが,2013年以後はテレビ受信許可料収入で賄われることに変更された。2013年は7,630万ポンド,2014年は7,600万ポンドと支援額がすでに明らかにされていたが,今回の協定で,2015年度は7,525万ポンド,2016年度は7,450万ポンドとすることが決定した。

英BBCラジオの聴取時間が増大

イギリスのラジオ聴取率調査会社RAJARが10月27日に発表したデータによると,公共放送BBCラジオの週間聴取時間は1人平均約17時間となり,過去3年間で最大となった。また,BBCラジオ全局の週間接触者は3,486万人となり,ラジオ市場の54.5%を占めている。

仏,フランステレビジョン倫理規定策定

フランスの公共放送,フランステレビジョンは,職員が守るべき倫理規定などを盛り込んだ「チャンネル憲章」(Charte des antennes)を策定し,10月19日公表した。憲章では公共サービスの使命として,「報道の真正さ」「透明性」「独立性」「情報の多元性」「国民の多様性の反映」を改めて掲げている。そして多様な媒体に情報が氾濫するなかで,ブログやソーシャルネットワークを使用する際は「プロとしての自覚を持ち,会社の信頼を損ねることをしてはならない」「表明した内容については個人的に責任を持たなければならない」などと新時代の倫理規定を策定している。会社側はこの憲章の規定を,労働組合と交渉中の労働協約にも盛り込みたいとしている。

独,2013年からの受信料額据え置きへ

10月6日付の報道によると,ドイツの2013年から2014年末の受信料額は,現行の月額17.98ユーロ(約2,000円)で据え置かれる。受信料の値上げ額について州政府に答申を行うKEF(公共放送財源需要審査委員会)は,4年間で3億1,590万ユーロ(約344億円)の受信料増収が必要だとしているが,2013年に行われる徴収方式の変更により,現段階では収入を正確に見積もれないため,2年間は額を据え置き,必要があれば2015年に変更を行う方針である。ドイツの受信料は通例4年ごとに値上げが行われ,据え置きになるのは今回が初めて。

独ARDのスマートフォンアプリに関する訴え棄却

フランクフルター・アルゲマイネ紙など,ドイツの新聞・出版社8社が,公共放送ARDのニュースサイトtagesschau.deのスマートフォン向けアプリが違法な民業圧迫だと訴えていた問題で,ケルン地方裁判所は10月13日,原告の訴状を不明確だとして棄却した。ARDのTagesschauアプリは,2010年12月から無料で提供されており,ニュース動画を視聴できるだけでなく,新聞記事に似た文章コンテンツが読める点を原告団は問題視していた。裁判所はまた,原告団とARDに対し,アプリの形式の変更が可能かどうかなど,解決に向けた話し合いをするよう促した。

伊Sky Italia,加入者500万件を突破

イタリアの衛星有料テレビのSky Italiaは,10月7日,サービス開始以後初めて,加入契約者が500万件を突破したことを発表した。Sky Italiaは2003年7月末,TelepiùとStreamの有料テレビ2社が合併して誕生,両社のほぼすべての契約者約200万件を引き継いでスタートした。その後はPVR(パーソナル・ビデオ・レコーダー)やHDなどの新技術を生かしたサービスで常に市場をリードし,順調に契約数を伸ばしてきたが,2010年初めには政府による付加価値税の値上げ措置によって,契約数が伸び悩んだ時期もあった。Skyによると,全契約者のうち67%以上がHD契約だという。