放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,KBSの原発取材陣の一部に染色体異常

福島第一原子力発電所の事故などを取材していたKBS取材陣のうち19人から染色体異常が見つかった。これはKBSが10月4日,国会の文化体育観光放送通信委員会の野党委員であるチャン・ビョンワン(張秉浣)議員に対して提出した資料で分かったものである。資料によると取材活動にあたったKBSの79人の染色体を検査した結果,19人から3つ以上の染色体異常が見つかった。異常染色体の数が4つ以上ある場合は明らかに正常な範囲を超えると医療関係者は判断しているが,19人のうち8つ見つかったケースが1人,6つが2人,5つが1人,4つが6人いた。これについてチャン議員は,「KBSは当初取材者に線量計も持たせないなど,災害報道の基幹局としての体制整備が不十分」と述べた。

韓国,KBSは2011年度赤字転落へ

KBSの経営状況が,2年連続で黒字を計上した後,2011年に入ってから悪化していることが分かった。中央日報の報道によると,KBSは10月3日,与党ハンナラ党のシム・ジェチョル(沈在哲)議員に2011年の経営展望に関する資料を提出したが,この中で同年は124億ウォン(約8億5,000万円)の赤字になるとの予測が示されていた。赤字になる理由としては,人件費や放送制作費の増加と広告収入の減少が挙げられている。

中国,娯楽番組規制を強化へ

香港メディアなどの報道によると,中国の国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)は2012年1月から,娯楽番組の放送規制を強化する基本方針を各放送局に伝えた。方針では,地方テレビ局の衛星チャンネルが午後7時から10時半までの時間帯に放送するドラマやポップミュージックなどの娯楽番組について,1週間に2本以内と制限し,その代わりに道徳的・文化的にレベルの高い番組を優先的に放送するよう求めている。中国の地方テレビ局は,広告収入が期待できる全国向け衛星チャンネルでの視聴率を上げようと,湖南テレビや江蘇テレビを中心に娯楽番組を強化してきたが,これによって中国中央テレビ(CCTV)の視聴率が低迷したため,CCTVからの上納金に依存するSARFTが“青少年の健全育成”を大義名分に地方テレビ局への締め付けを図ったものと見られている。

インド,衛星TVチャンネル急増に歯止め策

インド政府は10月7日,乱立が懸念されている商業衛星TVチャンネルの新たな免許申請基準の強化を決定した。これによって,これから免許の申請ができる事業者の純資産額は,ニュース番組を扱うチャンネルを初めて申請する場合で,従来の7倍に近い2億ルピー(約3億円)以上,娯楽チャンネルの場合でも従来の3倍を超す5,000万ルピー(約8,000万円)以上に引き上げられた。申請基準強化の背景には,テレビ局運営に適性を欠くと見られる事業者の参入によるチャンネルの急増があり,2011年8月末現在,免許を取得した商業衛星TVチャンネルの数は745に達する。

インド,政府がCATVデジタル化工程表決定

インド政府は10月13日,2014年末までに全国のケーブルテレビ(CATV)のデジタル化完了を目指す情報放送省提案の工程表を閣議で承認した。大統領の認可を得,関係する法案が議会に提出されるが,4大都市圏(デリー,ムンバイ,コルカタ,チェンナイ)は2012年3月末,人口100万以上の都市は2013年3月末,残りの都市域は2014年9月末までにデジタル化され,同年12月末には全国のCATVデジタル化が完了することになる。CATVのデジタル化は関係する事業者間の利害対立を背景に政策の実施が進まず,これまで足踏み状態が続いていた。

モルディブ,地上デジタル放送に日本方式採用

インド洋上の島国モルディブが10月19日,国営放送MNBCにおける地上デジタル放送方式の規格に日本方式(ISDB-T)の採用を決定した。海外で地上デジタルの日本方式採用を決めた国はこれで12か国(南アジアでは初)となった。海抜の低い多数の島からなるモルディブは津波などの自然災害に遭いやすく,災害の発生をいち早く知らせる「緊急警報放送」や移動中でも良好に受信できる「ワンセグ」など,日本方式が持つ独自の機能が評価されたという。