放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,ネット検索会社の広告収入がテレビ各社を抜く

韓国のKT 経済経営研究所は5月30日,国内のインターネット検索サービス最大手のNHNの2010年の広告収入が1兆1,000億ウォン(820億円)と主要テレビ局を上回ったことを発表した。発表によると,NHNの広告収入はオンライン広告市場全体の70%を占め,2位のダウムコミュニケーション(3,455億ウォン)を圧倒している。一方,地上テレビ広告の市場規模は1兆9,000億ウォンで,MBCが8,200億ウォン,KBSが5,800億ウォン,SBSが5,000億ウォンといずれもNHNを下回った。NHNは国内メディアとしては初めて広告収入が1兆ウォンを超え,2010年の国内広告市場全体の14%のシェアを占めた。

韓国,公取委が「過度な肌の露出の強要は禁止」

韓国の公正取引委員会は6月17日,「大衆文化芸術人標準専属契約書」を改正し,芸能活動をする青少年の人権を保障する新たな項目の新設を発表した。今回改正された契約書には,芸能事務所が青少年と契約を結ぶ場合,営利や興行のために過度な肌の露出や扇情的な表現行為を要求することを禁じているほか,青少年の学習権や睡眠権などを保障することや,長時間の活動をさせないようにすることが明記されている。今回の契約書改正については,「少女時代」に代表されるアイドルグループの間で競争が激しさを増す中,過度な肌の露出や長期の公演の準備にともなう学習権の侵害の問題が指摘されたことなどが背景にある。

中国,著名ブロガーを釈放

中国政府は6月22日,経済犯罪を理由に拘束していた著名ブロガーの艾未未(がい・みみ)氏を仮釈放したことを明らかにした。艾氏は北京オリンピックのメインスタジアムの設計にたずさわったデザイナーだが,民主化運動にも従事する著名な体制批判派ブロガーで,中国政府は4月,艾氏を経済犯罪の疑いで拘束していた。艾氏を釈放した理由について政府当局は,「犯罪を認めたこと」と「艾氏の病気」を挙げているが,艾氏自身は海外メディアの取材に対し,「メディアに対して話すことは禁止されている」とだけ述べ,当局が艾氏の釈放に条件を付けたことをうかがわせている。

台湾,放送免許交付を弾力化

台湾の立法院(国会)は6月14日,ラジオテレビ法の改正案を可決し,現在は審査による許可制となっている放送免許を,今後は競売・くじ引きなどを含む多様化した形で交付することになった。改正案によると,免許交付を担当する独立規制機関のNCCは,公共の利益を最大化することを目標とし,審査・競売・公開入札・くじ引き・審査プラスくじ引きといった多様な方法で免許の交付に当たるとされている。また,テレビ事業の免許期間を6年から9年に延長すると共に,運営実績の評価を2年に1回から3年に1回に変更している。

インド,DD Direct+の配信チャンネル大幅拡大へ

唯一の地上テレビ局のドゥールダルシャン(DD)を傘下に持つ公共放送機関,インド放送協会の経営委員会は,6月7日,DDの無料直接衛星放送DD Direct+の配信テレビチャンネル数を年内に現在の59から200に大幅拡大する提案を了承した。インドでは,直接衛星放送視聴世帯の急速な伸びを背景に,直接衛星放送のメリットに着目するテレビチャンネルが増え,今ではDD Direct+での配信を待つテレビチャンネルは250を超すと見られている。配信チャンネル拡大後のチャンネル選定にはオークションの導入が検討されている。DD Direct+は2004年12月のサービス開始以来,視聴世帯には課金せず,衛星チャンネル事業者に毎年1チャンネル毎に課金する配信料を収入源としている。

スリランカ,内戦後再建の送信塔完成

スリランカ北部州のKokavilで,内戦で破壊された後再建中だった高さ174メートルの多目的送信塔が完成し,6月6日,ラジャパクサ大統領の手で開所式が行われた。同地域に元々あった送信塔は国営テレビ(SLRC)の北部地域向け放送などで中心的な役割を担っていたが,LTTEと政府軍の激戦で1990年に破壊された。再建された送信塔はデジタル・テレビ放送やラジオ,電気通信,軍事通信などに使われる。