放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米・元NPR会長のシラー氏,NBCへ

NBCは,公共ラジオNPRの元会長兼CEOのビビアン・シラー氏がNBCニュースに入ると6月2日,発表した。NBCニュースやケーブル局MSNBCのデジタル戦略を統括する。シラー氏は,NYタイムズのデジタル部門で上級副社長を務めた後,2009年1月にNPR会長に迎えられ,マルチメディア展開を積極的に進めて聴取者増加に大きく貢献した。しかし,保守派の番組コメンテーターの発言を問題視して即時解雇した件や,NPRの基金担当役員が「NPRは政府の補助金なしでもやっていける」と発言した内容がネット上で暴露された問題などの責任をとって,今年3月に辞任していた。

米・保守派論客,初の有料ネット帯番組を配信へ

保守派コメンテーターとして高い人気を誇るグレン・ベック氏が,インターネット上で有料の帯番組を始めることになり成否が注目されると,NYタイムズが6月6日に伝えた。ベック氏は2 年半番組を担当したFOXを6月で離れ,ネット上に独自のネットワーク,「GBTV」を設立し,9月から月~金で毎日2 時間の討論番組を提供して月5~10ドルの料金を徴収する。米国内では,オプラ・ウィンフリー氏など著名な司会者が自前のブランドを立ち上げる動きが目立っており,初の有料ネット帯番組がどこまで支持を集め,新しいビジネスモデルになるか注目されている。

米NBC,オリンピック4大会の放送権を獲得

NBCは6月7日,2014年のロシア・ソチ冬季大会,2016年のリオデジャネイロ大会,2018年の韓国・ピョンチャン冬季大会に加え,開催地未定の2020年の4つのオリンピックの放送権を獲得したと発表した。4大会の放送権料は合計で43 億8,000万ドル(約3,500億円)に上る。ABCとFOXは落札できなかった。NBCは2010年のバンクーバー冬季大会で赤字を計上しており,今年1月にNBCを買収した親会社のコムキャストは,地上放送に加え,インターネットや携帯端末向けなどあらゆるプラットフォームでコンテンツを提供して黒字化を目指すとしている。

メキシコ,デジタルラジオ放送規格にIBOCを採用

メキシコのCOFETEL(連邦通信委員会)は6月11日,国内のAM/FMラジオのデジタル放送規格としてIBOC(In Band On Channel)システムを採用することを政府公報で発表した。IBOCシステムは,アメリカのiBiquity社が開発したデジタルラジオ放送システムで,すでにアメリカでは放送が行われている。AMとFMによるアナログ波とデジタル波のハイブリッド送信が可能で,アナログ放送を維持しながらデジタル放送を行うことができる。

チリ政府,ソーシャルネットワークのモニタリング実施へ

反政府デモが相次ぐチリで6月20日,政府が国政に関する国民の声を把握するためフェイスブックやツイッターといったソーシャルネットワークのモニタリングを行うと発表した。政府の計画では,民間企業に委託してソーシャルメディア上の意見を観察するとしているが,モニタリングによってどのような意見がどこから発信されたかの追跡調査もできることが明らかになった。ジャーナリスト団体や野党などからは,インターネット上のプライバシー侵害を危惧する声や,政府による言論の監視につながるとして反対する声が上がっている。

グーグル,5月の利用者数10億人を突破

アメリカのインターネット調査会社コムスコアは6月21日,米グーグル社が提供するインターネット関連サービスの世界全体での利用者(ユニークユーザー)数が5月に初めて10億人を突破したと発表した。この数字には, 同社の映像配信サービスであるユーチューブやソーシャルネットワークのオーカット,電子メールサービスGmailなどの利用者も含まれる。これは,マイクロソフト社の9億500万人やフェイスブックの7億1,300万人,ヤフーの6億8,900万人を抑えて世界最大の利用者数となっている。しかし,前年との比較では,マイクロソフトが14.75%,ヤフーが10.8%,フェイスブックが30.2%増加しているのに対し,グーグル利用者数は8.4%の増加にとどまっている。