放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCワールドサービスのヒンディー語継続

イギリスの公共放送BBCによる国際ラジオ放送は20%の経費削減のため,ヒンディー語の短波放送を3月31日で終了する予定だった。しかし,元BBCインド特派員のマーク・タリー氏や著名な作家などによる反対キャンペーンが功を奏し,1日1時間の放送で1年間延長することが3月7日に発表された。ヒンディー語サービスはインド国内に1,000万人の聴取者がいる。

英BBC,新調査法で視聴者数増大

イギリスの公共放送BBCは3月24日,新しい調査方法Live+7導入の結果,各番組の視聴者数が軒並み増大したことを明らかにした。Live+7は,ライブ視聴・録画によるタイムシフト視聴や7日間見逃しサービスのiPlayerなどすべてのプラットフォームでのBBCテレビ番組の視聴者数を足し合わせる方法。例えば1月10日にBBC ONEで放送したスポーツクイズ番組は210%アップの660万人,2月28日にBBC THREEで放送したリアリティショーは387%アップの135万人となった。

仏INA新しいVOD定期サービス開始

フランスのINA(国立視聴覚研究所)は,過去のテレビとラジオ番組を一般の利用者が定期視聴できるVODサービスを4月から始めた。「INAプレミアム」と名付けられたこの新サービスは,月々3.99ユーロ(約460円)の定期視聴料で,文化,歴史,フィクションなどにジャンル分けされた過去の番組を視聴できるもので,毎月100時間分の番組が更新されるという。INAは過去のアナログ番組のデジタル化を進めており,これまでに2万8,000時間分のデジタル化が完了している。

アイルランド,プロダクト・プレイスメント広告解禁へ

アイルランド放送オーソリティは3月9日,国内テレビのプロダクト・プレイスメント(PP)広告を許可すると発表した。5月2日以降,映画,スポーツ,ドラマ(ドキュメンタリードラマは除く),ライト・エンターテインメント番組(一部のトークショーは除く)に限り,PP広告が解禁となる。ニュース,ドキュメンタリー,子ども向け番組,ニュース時事問題を20%以上含むトークショーについては,これまで通り禁止される。デジタルレコーダーの普及で視聴者がCMを早送りや飛ばすなどして見なくなっていることから,広告主からPP広告の早急な規制緩和が求められていた。

独第3位ケーブルを米Liberty Globalが買収

ヨーロッパや南米など13か国でケーブルテレビ事業を展開するアメリカのLiberty Globalは2009年にケーブル事業者国内第2位のUnitymediaを買収したのに続き,3月21日,第3位のKabel BWを31億6,000万ユーロ(約3,700億円)で買収すると発表した。Kabel BWは,ドイツ南西部バーデン=ビュルテンベルク州で加入世帯240万世帯をもつ事業者で,これまでスウェーデンの投資ファンドEQTが所有していた。買収には,欧州委員会と連邦カルテル庁の承認が必要となる。

独ARD,若年層向けデジタル戦略について討議

ドイツ公共放送連盟ARDの監督機関が主催するフォーラム「若者たちと接触するためのコンテンツ・伝送路・戦略」が2月28日に開催された。ピールARD会長は冒頭の講演で,現在ARDが進めている若年層の接触率を上げる戦略について触れ,若い世代によく聴取されているインターネットラジオをさらに充実させる,スマートフォン向けのオンデマンドサービスを増やす,若者向け文化チャンネルEinsFestivalと生活情報チャンネルEinsPlusで,新しいフォーマットの番組作りを試みる,などを挙げた。

伊,相互所有規制を2012年末まで延長

イタリア政府は3月23日,現行の放送法で定める新聞とテレビの相互所有規制を,放送・通信分野の規制監督機関AGCOMの要請を受け,2012年末まで延長する暫定措置令を閣議決定した。現行法では同規制が2011年から撤廃され,全国規模の大手テレビも新聞を所有できることになっていた。しかし,AGCOMは,規制の延長はイタリアの現状において,メディアの多元性を保障するために重要であるとして,昨年10月末,政府に対して制度的な適応を求める書簡を送付していた。