放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英デジタル移行支援,50万人以上が利用

イギリスの公共放送BBC が運営するデジタル移行支援会社が2月24日,デジタルテレビ受信支援を受けた高齢者や障害者の数が50万人を超えたことを発表した。イギリスでは,ウェールズ全域やスコットランド,イングランド南西部/北西部のほぼ全域でアナログ放送が終了し,全世帯の4分の1以上が完全にデジタル放送に移行した。各戸訪問によるデジタル移行支援作業は現在週1万戸のペースで進められている。

英プロダクト・プレイスメント広告解禁

イギリス国内テレビにおけるプロダクト・プレイスメント広告(PP広告)が2月28日付で解禁された。第1号の広告はITV1の朝番組“This Morning”におけるネスカフェの広告になる予定で,番組制作にプロダクト・プレイスメント収入が利用されていることを視聴者に明示する「P」マークを番組開始時と終了時に画面上に3 秒間表示する。なお,タバコやアルコール,賭博ゲーム,脂肪/塩分/ 糖分が多く含まれる食料品などは禁止されるなど,PP広告実施には様々な規制が設けられている。

独調査:ARD第1テレビが最重要チャンネル

ドイツ公共放送連盟(ARD)は2月8日,ドイツのテレビチャンネルのなかで,ARDの総合編成チャンネル「第1テレビ」が最も重要なものと国民に受け止められているとするアンケート調査の結果を公表した。調査は,昨年11月に3,000人を対象に行ったもの。「将来1つしかテレビチャンネルを見られなくなるとしたらどれを選ぶか」という質問に,23%がARDの第1テレビを,20%が商業放送のRTL Televisionを,13 % が公共放送ZDFを,11% がARDの第3チャンネルを選んだ。

独カルテル庁,商業放送のVODサービスに懸念表明

ドイツの連邦カルテル庁は2月24日,2 大商業放送グループのRTL DeutschlandとProSiebenSat.1が共同で計画していた,全放送局共通のオンライン動画配信(VOD)サービスの計画に懸念を表明した。計画は,アメリカのVOD サービス「Hulu」をモデルとし,参加する放送局が動画広告をつけた番組をインターネット上で7日間無料で配信するもの。カルテル庁は,計画は両グループのテレビ広告市場での支配的地位を強化するものだとして懸念を表明した。両グループは同庁に対し意見表明できるが,計画は撤回を余儀なくされるものと見られている。

独,ネット利用者の32%がウェブラジオ聴取

ドイツの調査会社TNS Infratest が2月22日に発表した調査データによると,ドイツの14 歳から59 歳までのインターネット利用者の32%が,インターネット上で配信されているラジオも聴取し,9%は毎日利用している。現在ドイツでは,約1,900 のウェブラジオのチャンネルがあるが,そのうち317はFMラジオの同時配信である。公共放送ARDとドイチュラントラジオは,54 のラジオチャンネル全てをストリーミングで同時配信している。

伊RAI,SONYと提携で「見逃しサービス」開始

イタリアの公共放送RAIは2月18日,「Bravia Internet Video」の利用者向けに,RAIのコンテンツの無料見逃しサービスを2月から試験的に提供することで,SONYとの間で合意したと発表した。Bravia Internet Videoは,SONY製の液晶テレビBraviaや同社のブルーレイ機器を対象としたネットサービス。イタリア国内でこのサービスへの放送局によるコンテンツ提供は,RAI が初めてとなる。

伊Mediaset,有料VODネットTVサービスを開始

大手商業放送Mediasetは2月22日,インターネットに接続したテレビで利用できる新しいオンデマンド(VOD)の有料サービス「Premium Net TV」を翌23日から始めると発表した。同サービスは,プロバイダーは問わず,ブロードバンド環境さえあれば,既存の地上デジタル用HD 対応STBやデジタルテレビ経由でも,PC 経由でも,HDを含む映画や同局の番組の7日間見逃しサービスなど,1,000 以上のコンテンツをオンデマンドで視聴できる。同社は以前,PC 向けにIPTV(VODを含む)サービスを行っていたが,サービスを停止していた。