放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英Five,新オーナーの下で積極的な投資へ

ルクセンブルクに本社を置くRTLから7月23日に経営権がイギリスのNorthern & Shellに移ったチャンネル5(Five)は8月11日,今後5年間,番組やコンテンツに総額15億ポンドの投資を行うことを発表した。これに伴い,役員陣の交代と最大80人のスタッフの効率化が行われる。Fiveは1997年に最後の地上商業テレビとして放送を開始し,2005年にRTLに買収された。多チャンネル競争と2009年のリーマンショック後の景気後退のなかでFiveは赤字を増やし,チャンネル4との合併案など生き残りが模索されていた。Northern & Shellはイギリス国内でDaily Expressなど日刊紙を所有し,Fiveを買収することでテレビ事業に拡大した。

英全世帯の3分の1が見逃しサービスを利用

イギリスの放送と通信を規制監督するOfcom(Office of Communications)は8月19日にコミュニケーション・リポートを発表した。それによると,2010年6月末現在,インターネットは全世帯の 73%に普及し,全世帯の31%がオンラインで提供されるテレビ番組の見逃しサービス(キャッチアップ・サービス)を利用している。また,HDチャンネルの利用は2009年同時期の190万世帯から510万世帯に増大した。一方,BBCやITVなど公共サービステレビチャンネルの視聴シェアの減少傾向は止まらず,2009年現在合計で57.8%となった。

仏,公共放送新会長就任で人事刷新

5つの局を傘下に束ねる公共放送France Te'le'visionsの新しい会長としてサルコジ大統領に指名されたレミー・フリムラン氏が8月22日前任者を引き継いで就任した。これに伴いフリムラン新会長はFrance2,3,4,5,それにRFOの5つの放送局の局長をすべて新たに任命するとともに,持ち株会社France Te'le'visionsの経営陣も一新した。1万1,000人の職員へのメッセージの中で,フリムラン新会長は,「来年末のデジタル放送への完全移行は,公共放送が自らの刷新能力を発揮して,ほかの局との違いを際立たせる絶好の機会である」と述べた。

独公共放送,会長の報酬額を公開

ドイツ公共放送連盟ARDに加盟する西部ドイツ放送協会(WDR)は8月9日,2009年事業報告書のなかで,会長の年間報酬額は30万8,000 ユーロ(約3,300万円:108円/ 1ユーロ)だったと公表した。会長の報酬額の公開はドイツの公共放送としては初めてのことで,2009年の州公共放送法の改正により義務づけられた。これに続き,法律の規定のないほかの州放送協会も自主的に報酬額を公表した。最も高額だったのはWDR,最も低額だったのはブレーメン放送協会で,会長と幹部 2名を合わせた報酬額が29万7,000ユーロ(約3,200万円)であった。現時点で未公開なのは,ヘッセン州放送協会(HR)とZDFとなった。

独,2010年インターネット利用調査公表

ドイツの公共放送ARDとZDFは8月12日,国内インターネット利用動向調査の結果を公表した。調査によれば,2010 年1月時点で,14 歳以上の人口の69.4%がネット接続環境にある。そのうち,インターネットで動画コンテンツを少なくとも時々は視聴すると答えたのは65%であった。動画をどこのサイトで視聴するかという質問に対しては,YouTubeなどの動画共有サイトを挙げたのが86%,放送局のウェブサイトが38%,企業のウェブサイトが27%,新聞社のサイトが21%,Facebookなどのオンラインコミュニティが20%であった。

伊La7,You Tube上で番組の全面配信を開始

イタリアの通信大手Telecom ItaliaグループのTelecom Italia Mediaは,8月26日,米Googleグループのインターネット動画サイトYouTube 上で同社のメインチャンネル「La7(ラ・セッテ)」のコンテンツを全面配信することで合意したと発表した。合意を記念し,La7の20時のメインニュースが8月30日より1週間ライブストリーミングで配信される。その後徐々にコンテンツを増やしていく予定。イタリアでは,同サイト上でテレビ局による番組のライブストリーミングが行われるのは初めてのこと。なお,コンテンツの管理には「コンテンツID」システムを採用することで合意した。