放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米SNSサイトの利用者が急増

アメリカでSNS(Social Networking Service)の利用者が急増している。ニールセン社が5月2日に発表したデータによると,SNS サイトの利用者数1位のFacebookの今年3月の月間ユニークユーザー数は1億1,700万で前年比69%増,Twitter が同2,010万人(45%増)と利用者数を大幅に伸ばしている。これはアメリカだけでなく世界的な傾向で,SNS サイトの総利用時間量は前年同期の約2倍となっており,1人当たりの月間利用時間量は6時間を超えている。

米Newsweek誌,売却へ

米新聞大手のワシントンポストは5月5日,傘下のNewsweek誌を売却すると発表した。Newsweekは1933年の創刊で,Timeと並んでアメリカを代表するニュース週刊誌となり,61年にワシントンポスト紙が買収していた。しかし,インターネットの普及で広告収入や販売部数が落ち込み,デジタルへの移行もうまくいかず,ここ数年赤字が続いていた。
ウォールストリート・ジャーナル紙によると5月末の時点で,米投資会社のオープンゲート・キャピタルや金融情報大手のトムソン・ロイターなどが同誌の買収に関心を寄せている。

CBSとFOX,NABに復帰

地上放送ネットワークのCBSとFOX が5月10日,全米の地上放送局の業界団体NABに復帰し,1999 年以来11年ぶりに4大ネットワークがNABに揃った。NABはケーブルテレビや衛星放送がシェアを拡大するなかで,地上テレビやラジオの役割を高めるため活動を行ってきたが,系列局を増やしたいネットワークと,独自性を守りたい地方局の利害が対立して,1999年にFOX,2001年にCBSが脱退していた。メディアが多様化するなかで,地上放送全体の影響力を高め,再送信問題などでケーブルテレビ業界に対抗するため,2大ネットワークの復帰が実現した。

米トムソン・ロイター,動画ニュースの配信開始

ビジネス情報サービス大手の米トムソン・ロイターは,インターネットを通じて経済情報番組を24時間伝える動画ニュース配信サービス,Reuters Insiderを5月11日にスタートさせた。同サービスは,世界の大手金融事業者を含む約150社の提携企業から収集した情報や,ロイターの記者たちが取材したニュースなど1週間に約2,000の動画クリップをストリーミング配信する。基本的には会員向けの有料サービスだが,一部は無料でも見られる。金融関係者のあいだでは経済ニュース版YouTubeと呼ぶ向きもあり,経済・金融情報の新たなプラットフォームとして注目されている。

アップル,マイクロソフトを抜き業界首位に

米アップルの株式時価総額が5月26日,2,221億ドル(約20兆円)に達し,マイクロソフト(MS)の2,192 億ドルを抜いて,初めてIT業界の首位となった。アップルは,創業者の一人で現CEOのスティーブ・ジョブズが1985年に会社を去り,MSとの基本OS のシェア争いで苦戦して一時は会社の存続も危ぶまれ,MSに支援を仰いだこともあった。しかし,96年にジョブズが復帰したあと,2001年に音楽プレーヤーiPod,2007年にスマートフォンのiPhone,そして今年4月にはタブレット型PCのiPadが大ヒットし,急速に業績を伸ばしていた。

コスタリカ,パラグアイ,
地上デジタル放送で日本方式採用

中南米で地上デジタル放送の規格に日本方式を採用する国が相次いでいる。5月26日,中米のコスタリカが正式に採用を決定,6月2日には南米のパラグアイも採用決定を発表した。これまでにブラジル,ペルー,アルゼンチン,チリ,ベネズエラ,エクアドルの6か国が採用を決めていた。規格は日本方式そのままではなく,日本方式を基本にしながら動画圧縮規格を変更したいわゆる日本・ブラジル方式(ISDB-Tb)で,移動体端末向け放送に適しているとされ,ブラジルがほかの中南米諸国にも採用を呼び掛けている。