放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾公共テレビ,理事会がマヒ状態に

役員人事を巡って内紛が続いている台湾の公共テレビは,4月19日,裁判所が7人の理事の職務停止仮処分を行ったため,前回の仮処分と合わせ15人の理事が職務停止という異常事態となった。この問題ではまず09年7月,鄭同僚理事長の更迭を目指す与党国民党が理事数を8人増員したが,鄭理事長が新規理事の選出方法に瑕疵があるとして10年1月,台北法院にこの8人の職務停止仮処分を申請し認められた。これに対しメディアを管轄する行政院新聞局は,仮処分後に理事数が規定に達しないまま理事会を開催したことが違法だとして,同様に裁判所に鄭理事長ら 7人の理事の職務停止を求める仮処分を申請し認められたものである。このほかにも理事1人が辞任したため現在活動可能な理事は5人で,公共テレビの理事会はマヒ状態となった。

CCTV,英語チャンネルをニュース主体に

中国中央テレビ(CCTV)は4月26日,従来教養・娯楽などさまざまな番組を放送してきた英語チャンネル(CCTV-9)を, 毎日19時間をニュース報道にあてるニュースチャンネルに衣替えした。チャンネルの担当者によると,今後はニュースに加え,深く取材した特集,時事評論,ドキュメンタリーなどを放送する予定という。CCTV-9は2000年9月に放送を開始し,世界110の国と地域に1億人を超す視聴者がいるとされているが,今回の改革は,対外発信強化を目指す中国政府の方針に沿ったものである。

タイ衝突で日本人カメラマンらが死亡

タイの首都バンコクで4月10日,反政府デモ隊と治安部隊との衝突を取材していたロイター日本支局のカメラマン,村本博之さん(43)が銃で撃たれて死亡した。タイでは4年前のクーデターで失脚したタクシン元首相の支持者らが,アピシット政権の退陣を求めて3月中旬から首都バンコクの中心部で反政府デモを続けてきた。タイ政府はこの日,バンコク中心部の官庁街でデモ隊の強制排除を強行,デモ隊の参加者や治安部隊の兵士など合わせて20人以上が死亡,800 人以上が負傷したが,誰が発砲したのかは4月末現在,明らかになっていない。このとき村本さんの撮影した映像は,その後世界に配信された。

タイ,反政府系衛星テレビ局の放送が一時遮断

タクシン元首相の支持者らによる反政府活動が激しくなったことから,アピシット首相は4月7日,首都バンコクおよびその周辺地域に対して非常事態宣言を行い,反政府派の衛星テレビ局PTV(People's Television)が暴力扇動につながる情報を流しているとして放送を遮断された。これに対して反政府派は反発し,タイで唯一衛星通信事業を行っている通信大手のタイコムの地上局に押しかけて放送再開を要求,12日に放送再開となった。

パキスタン,違法チャンネル一斉取締りを実施

パキスタンのPEMRA(電子メディア規制庁)は4月8日,認可を得ている合法衛星テレビチャンネルの利益を保護するとして,全国のケーブルテレビ網で違法に配信されている100を超える無認可チャンネルの一斉取締りを開始した。PEMRAはこれまで自国の82の衛星チャンネルと外国の28の衛星チャンネルに認可を与えているが,視聴者のニーズに応えたいケーブルテレビ局が無認可のチャンネルを配信するケースが跡を絶たないと言われている。

トルコ,24時間アラビア語衛星TV局開局

4月4日,国営放送局TRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)が,アラビア語による最初の24時間衛星テレビTRT al Turkiyeを開局した。同チャンネルはイスタンブールからTu"rksat,Arabsat,Nilesatの3衛星を経由し,アラブ22か国の3億人を超える視聴者に向け放送を行う。TRTは同チャンネル開局に先立ちヨルダンやシリアなどのアラブ諸国と協力協定を結んでおり,カイロ,ベイルート,ダマスカスからの生放送も行うとしている。トルコには同チャンネルのほかにテレビ国際放送チャンネルとしてヨーロッパ,アジア,北米,オセアニア向けのTRT Tu"rk,中央アジア,アゼルバイジャン向けのTRT Avaz がある。