放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英テレビ受信許可料145.5ポンドへ値上げ

イギリス政府は3月9日,4月1日からカラーテレビの受信許可料を142.50ポンドから145.50ポンドへ,白黒テレビを48ポンドから49ポンドへ値上げすることを発表した。政府とBBCとの間では2007年からデジタル移行が完了する2012年までの6年間にわたって値上げの取り決めが結ばれ,2010年は2%の値上げが設定されていた。

英Ofcom,ATVODを共同規制者として正式任命

イギリスの放送と通信分野の規制機関であるOfcom(Office of Communications)は3月18日,業界が自主的に設立したATVOD(Association for Television On Demand)をオンデマンド番組サービスに関する共同規制者として正式に任命した。これによって,現在オンデマンドサービス提供者は4月30日までに ATVODに届け出を行い,料金の支払いを義務づけられる。この料金は,ATVODの運営資金に充てるためのもので,妥当な料金設定について,Ofcom とATVODの両者が共同で意見の募集を行う予定である。

英BBC,DABの送信地域を拡大へ

イギリスの公共放送BBCは3月23日,2011年末までにDAB(地上デジタルラジオ)の送信網を人口の90%まで拡大する計画を発表し,今後新たに 60の送信所を建設する。現在のカバー率は85%で,GFK調査によると1,000万台のDAB受信機が利用されている。なお,デジタルラジオは,デジタルテレビ放送やインターネットでも聴取できる。

仏,地デジHDTVの拡大計画発表

フランスの独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)は2月18日,主要3チャンネルの地デジHDTV放送について,2011年11月末までに人口の90%が受信可能になるとする計画を明らかにした。フランスでは今年になってアルザス地方を手始めに,地デジへの移行が地域ごとに進められている。CSAの計画によると,これに合わせて公共放送フランス2と,商業放送TF1,M6が行う地デジハイビジョン放送も順次マルチプレックス(多重周波数帯)で開始されるという。フランスでは2011年11月にはアナログ放送が終了し,全国的にデジタルに切り替わる予定である。

独ZDFテレビ評議会,VOD提供期間の明確化を要請

公共放送の第2ドイツテレビ(ZDF)の内部監督機関であるテレビ評議会は3月12日,ZDF会長に対し,シリーズ番組のインターネットによるオンデマンド提供に関し,期限をより明確にするよう求めた。番組の継続中はシリーズの初回からオンデマンド提供を続けたいとするZDFに対し,テレビ評議会は,具体的な期限を設けるよう要請している。テレビ評議会は現在,ZDFのインターネットサービスに関し,公共サービスとしての意義や経費を審査する「3段階テスト」を行っている。

独,プロダクト・プレイスメントのガイドラインを制定

ドイツでは4月1日,プロダクト・プレイスメントと呼ばれる,番組内で商品やサービスを使用することによる間接的な広告手法を認める放送法の改正が発効した。これに伴い,商業放送の規制監督を行う各州メディア監督機関は,共同でガイドラインを制定した。これによれば,プロダクト・プレイスメントを行う場合,番組の開始時と終了時および広告放送による中断後に,全放送局共通の「P」マークを3秒以上表示し,また文章による説明を入れなければならない。この表示義務は,商品やサービスの価値が1,000ユーロ(約13万円)または番組制作費の1%を超える場合に生じる。

伊,欧州AVMS指令に対応した放送法が成立

イタリア政府は3月1日,現行の放送法にあたる「放送統一法典」を大幅に改正する新法を閣議承認し,同30日に発効した。これは,EUが採択した「視聴覚メディアサービス(AVMS)指令(2007/65/EC)」に対応した国内法の整備を2009年末までに加盟各国に義務づけていたもので,放送通信分野における広告規制緩和などを目的としている。主な改正点は,プロダクト・プレイスメントの条件付き承認,7~23時の時間帯での有料を含めたすべてのプラットフォーム上での成人向け番組の禁止,有料事業者に対しては広告規制の段階的強化など。