放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

台湾,地上デジタル放送普及に補助実施へ

中国では3月,メディアが政府に公然と異議を唱える事案が相次ぎ,最近の統制強化への反発を示すものとして注目されている。3月1日には,経済参考報をはじめとする全国の新聞13紙が合同で,都市住民と農村住民を実質的に差別する戸籍制度の廃止を求める社説を掲載した。複数の新聞社が合同で政府の政策変更を要求するのは中国では極めて異例のことで,政府は直ちに社説の内容を各紙のウェブサイトから削除させると共に,“首謀者”である経済参考報の編集責任者を解任した。また湖北省で起き全国的に報道された傷害致死事件について,取材を求める記者の録音機を取り上げた湖北省の省長に対し,13日,ジャーナリストや知識人200人以上が連名で辞任を要求する公開書簡を発表,記者が取材する権利の保障を求めた。

マカオ,政府に批判的なテレビ局を「捜索」

マカオで3月18日,政府に対し批判的な報道も辞さないことで知られる「マカオアジア衛星テレビ」が,不法労働者の摘発を理由に政府当局から捜索を受けたが,実際には不法労働者は見つからず,当局による恣意的な捜査との批判が出ている。マカオアジア衛星テレビは,人口密集地でスロットマシンのゲームセンターの開発を認めた当局の決定を「公約違反」として批判するなど,当局とは距離を置いた報道姿勢で知られている。今回の捜索についてコラムニストのアンソニー・ウォン・ドン氏は,他のメディアが過去10年間に一度も不法労働者摘発の捜査を受けていないことを理由に,言論の自由への干渉と当局を批判した。一方政府当局者は,捜査は偏見なしに行われ,政府は言論の自由に干渉しないと述べた。

韓国,MBCがハイチの地震報道で「警告」処分に

韓国の放送通信審議委員会は3月10日,MBCを代表するニュース番組『MBCニュースデスク』に対し,客観性違反により「警告」を行う決定を下した。『MBCニュースデスク』は1月28日に放送した「ハイチ地震現場に行った我々の外交官」の中で,ハイチに派遣された救助隊員が劣悪な状況下で救援活動を行っているにも拘わらず,大使館の職員たちは楽をしていたと伝えると共に,駐ドミニカ韓国大使が救助隊に対して否定的な発言を行ったかのような報道を行った。こうした内容に対して非難の声が出たため,MBCでは独自調査を行い,2月1日には自主的に謝罪放送を行っている。なお,「警告」は,放送法に明示された懲戒で,3年毎に実施される放送局免許の再許可審査の際に,2点が減点される。

タジキスタン,3か国共同のTV局誕生

イラン,タジキスタン,アフガニスタンの3か国はイラン暦の新年に当たるノールーズ直前の3月20日,共同でタジキスタンの首都ドゥシャンベにペルシャ語 TV局を開局した。近隣3か国の絆を強めるため共同でペルシャ語放送を実施する。タジキスタンの公用語タジク語とアフガニスタンの公用語ダリー語は共にペルシャ語系の言語。

イラン,EU諸国外相が放送妨害停止を要求

EU27か国の外相は,3月22日,海外放送局の衛星シグナルに対するイランの妨害は受け入れがたいとし,即時停止を求める共同声明を発表した。イランは昨年の大統領選以降,国内の反政府暴動を煽っているとし海外の衛星放送やインターネットへの締め付けを強め,ドイツのDeutsche WelleやVoice of Americaのペルシャ語ニュースネットワーク,BBC Worldのペルシャ語放送など多くの放送の衛星信号にジャミングを行っていると言われている。

パキスタン,PTVの受信料値上げ

パキスタンの代表的な英字紙Dawnが,3月2日,伝えたところによると,公共テレビPTVの受信料が月額25ルピーから35ルピーに値上げされた。異例の年度途中の値上げで公式発表はない。徴収を委託されている電力会社(Pepco)は既に新料金での徴収を開始しているという。匿名希望のPTV幹部によると,受信料値上げの決定権はPTVになく連邦政府の指示によるという。PTV受信料の値上げは2001年7月以来となる。その後政府系の通信社APPも受信料値上げのニュースを伝えた。