放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米Tivo,ネット機能の機種発売へ

デジタル録画機(DVR)サービス大手のTivo社は3月2日,従来の録画機にインターネットサービス機能を統合した最新の機種を4月に投入すると発表した。「Tivoプレミア」と呼ばれる同機種は,番組の関連情報をウェブサイトから集めて表示することが特徴で,放送終了分の番組ビデオがレンタルビデオ店にあるかどうか,YouTubeでの関連動画,アマゾンなどでの関連商品,書籍などがあるかといった情報が提供される。ユーザーは通常の放送だけでなく,関連の映像情報を1台のDVRで利用できるようになる。

米アカデミー賞中継,過去5年で最高の視聴率

3月7日にABCネットワークが生放送したアカデミー賞授賞式の中継番組は,視聴者が前年比500万人増の4,130万人と過去5年で最高を記録した。視聴者増の背景として指摘されているのが,興行収入の記録を更新したジェームズ・キャメロン監督の『アバター』である。3D技術を駆使したことでも話題となった同作は,イラク戦争を題材にした『ハートロッカー』と並んで最多の9部門でノミネートされ,何部門を獲得するかで注目が集まり,ニールセン社によると授賞式前の1 週間にネット上でアカデミー賞に関して交わされた4分の1が『アバター』に関する話題だったという。

CNNアマンプール記者,ABCへ移籍

CNNで長年,国際報道を担当してきたベテランのC.アマンプール記者(52)がABCに移籍し,日曜朝の政治討論番組『This Week』のアンカーを務めることになった。ABCニュースのD.ウェスティン社長が3月18日に明らかにした。アマンプール記者はCNNで20年余りにわたって主にイラクやアフガニスタンなど中東地域や戦争報道などを担当してきた。ABCでは,同記者が世界の取材現場で培った多角的な視点を番組にもたらすことを期待している。『This Week』への出演は今年8月からの予定。

米グーグル,ネットTV開発で連携強化へ

米検索最大手のグーグルは,ネット接続型テレビプラットフォーム「グーグルTV」の開発に向けて,インテルやソニーといった企業と連携関係を強化しつつある。同プロジェクトはまだ公表されていないが,ニューヨークタイムズ(3月22日)など各紙の報道によると「グーグルTV」は,グーグルのスマートフォン向けOS「アンドロイド」を搭載し,STBとテレビ受信機を一体化させたセットとして登場するとみられる。通常のテレビ放送だけでなく「Hulu」「YouTube」などの動画サイトや「Facebook」を始めとするSNSなどネット向けアプリケーションも利用可能となるため,関係業界ではすでに大きな話題を呼んでいる。

スマートフォン,米携帯市場の主流へ

iPhone,Blackberry,Droidといったスマートフォンの普及が急速に進んでいる。ニールセン社によると2009年度末現在の米携帯市場におけるスマートフォンのシェアは21%にまで達している。同社が3月26日に発表した調査結果によると次に端末を購入するときにはスマートフォンにするという回答は45%で,同社は2011年中には従来型携帯のシェアを上回るだろうと予測している。スマートフォンは従来型携帯と比較するとアプリケーションが豊富になっていることが特徴で,普及によって動画コンテンツの利用も拡大するものとみられる。

地デジ,エクアドルも日本方式を採用

地上デジタル放送の技術規格について,南米のエクアドルが日本方式を採用することが,3月26日に決まった。海外での導入は,ブラジル,ペルー,アルゼンチン,チリ,ベネズエラに次いで6か国目でいずれも南米である。なお,ペルーは3月31日に本放送を開始した。世界の地上デジタル放送の放送規格は,日本の「ISDB-T」,ヨーロッパの「DVB-T」,アメリカの「ATSC」と3つあり,このほかに中国の独自規格がある。日本の方式は,移動端末への適応力が高く,電波干渉に強い特性があるとされ,そうした点が山間部の多い南米で評価されたとみられている。