放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米Univision,YouTubeと提携合意

米スペイン語テレビ最大手Univisionは11月16日,動画サイトYouTubeに番組配信することで合意した。Univisionは,短いクリップ映像から番組全編まで,同社の3つのネットワークで放送している番組をYouTubeに提供する。ただしメキシコのテレビ局で世界のスペイン語圏で最大のメディア企業でもあるTelevisa制作の人気テレビドラマなどの一部は提供されない。YouTubeとしては今回の合意で,最も増加率の高い視聴者層でもあるアメリカのヒスパニック系ユーザーを集める効果を期待している。

米国際放送の視聴者,世界で1億7,100万人

VOA(ボイス・オブ・アメリカ)などアメリカの国際放送を管轄する米放送管理委員会(BBG)は11月17日,VOA,ラジオ・フリー・ヨーロッパ,ラジオ・リバティなどBBG傘下の国際放送の週間視聴者数が世界で1億7,100万人に達したと発表した。これはBBGの独時調査機関がまとめたもので,2002年の1億人と比べて70%の増加となっている。

オンラインビデオ視聴,前年比26%増加

ニールセン社の11月19日の発表によると,09年10月の米国内のビデオ視聴ストリームの総数は112億回に達し,去年10月に比べて26%増加した。利用者1人当たりの視聴時間は212分に上り前年比24%の増加であった。サイト別ではYouTubeが66億回で他を圧倒し,全体の6割を占める。2位はHuluの6億回,3位がFacebookの2億回となっている。またSNSでのビデオ視聴時間も, 去年10月の5億380万分から今年10月の9億9,940万分と倍増,FacebookやMyspace.comなどを利用したビデオ視聴が急激に伸びている。

オプラ・ウィンフリー・ショー,25年の放送に幕へ

アメリカで絶大な人気を誇るアフリカ系女性,オプラ・ウィンフリーが司会する昼のトーク番組(ABC系列など)が,放送25年目の2011年9月に終了すると,11月20日に本人が番組内で明らかにした。同番組は,ホイットニー・ヒューストンや元副大統領候補サラ・ペイリンなどの大物ゲストに本音で迫るインタビューが好評で,平均600万人が視聴する人気番組。不況で視聴率が落ちる番組が多かった中でも,ほとんど影響を受けなかった。ウィンフリーは今後,ディスカバリーコミュニケーションズと共同出資で設立した自身のネットワーク,OWNの運営に携わることにしている。

ワシントン・ポスト紙,首都以外の支局閉鎖へ

ウォーターゲート事件などの報道で知られる名門ワシントン・ポスト紙は,広告収入などの減少のため,残っていたシカゴ,ロサンゼルス,ニューヨークの支局を12月末で閉鎖することになった。ロイターが11月24日伝えたところによると, 同紙は約58万部を発行しているが,NYタイムズやウォールストリート紙など全米で流通する他の大手紙と違い,ワシントン地域での購読がほとんどで,最近では元ポスト紙の記者が始めた政治ニュースのオンラインサイト「Politico.com」などと競合していた。10月にはNYタイムズが100人の人員削減を発表するなど,アメリカでは名門といえども新聞媒体の苦境が続いている。

米グーグル,Tivo社と提携して視聴率測定

米ネット検索大手のグーグルとDVRサービス大手のTivo社は11月24日,テレビ番組の視聴率測定で提携すると発表した。Tivo社は自社のDVR ユーザーの視聴データを秒単位で記録しており,リアルタイムだけでなくタイムシフト視聴のデータもあわせてグーグルに提供,グーグルはこれらのデータを広告主を対象にしたサービス“Google TV Ads”に活用する。グーグルは衛星放送のエコスターからもデータ提供を受けているほか,ニールセンとも視聴者データの共有で合意,今回のTivo社との提携で約2,000万人の視聴者データを手にすることになる。