放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

ソイヤー記者,ABC夕方ニュースのアンカーに

米ABCニュースは9月3日,夕方の看板ニュース番組『World News』のアンカー,チャールズ・ギブソンが今年一杯で降板し,代わってダイアン・ソイヤーが1月から番組を担当すると発表した。これで3大ネットワークの夕方のニュースは,3人のうち2人が女性となる。ソイヤー記者は63歳,ニクソン大統領の広報アドバイザーを務め,その後CBSに入り,代表的な調査報道番組『60ミニッツ』のリポーターにも抜擢された。1989年にABCに移り,『プライムタイム・ライブ』や『20/20』などの番組を経て,現在は朝のニュースショー『グッドモーニング・アメリカ』の司会を務めている。

新しい視聴率調査研究機関が発足

米4大ネットワークや広告会社など14社は9月10日,新しい視聴率測定方法を研究・開発する機関としてCoalition for Innovative Media Measurement(革新的メディア測定協議会)を発足すると発表した。同協議会には,ABC,CBS,NBC,FOXの4大ネット,CNNやMTV 等のケーブルチャンネル,タイムワーナーやバイアコムなどの大手メディア企業,広告代理店などが参加し,新しい視聴率測定方法の研究開発,推進を行う。同協議会の発足は,ニールセン社の代替が目的ではなく,研究・開発のみを行うとしている。

FCC,ビデオのブログを開始

米FCC(連邦通信委員会)は9月10日,ホームページ上で映像のブログ配信を始め,初回には新しく就任したジュリアス・ジェナコウスキー委員長が登場した。ビデオブログは,放送や通信を所管するFCC自らが,最新のデジタル技術を生かしてそのメリットを紹介していこうというもので,ジェナコウスキー委員長は4分半にわたって,全米にブロードバンド網を広げる計画やFCCの活性化等について率直に語った。サイトには,利用者が投稿することもでき,FCCでは多様な意見を取り入れて,組織運営や政策決定等に活かすとしている。URLは「http://blog.broadband.gov/外部サイトへ

米グーグル,電子版記事の新閲覧システム開始

米ネット検索大手のグーグルは9月14日,米国内で発行される新聞や雑誌の電子版記事をPCやスマートフォンで無料閲覧できる新サービス「ファスト・フリップ」の試験版を公開した。アメリカの新聞や雑誌業界は,不況による広告収入の減少で経営が悪化しているが,グーグルの新サービスは広告収入の増加に繋がる可能性があるため,ニューヨークタイムズ,ワシントンポストなど大手新聞社のほか,ニューズウィーク誌,女性誌エルなど40 社がコンテンツ提供に合意している。試験が成功すれば,ネット広告の売り上げを新聞社,雑誌社と分配する方針である。

NAB新会長に,元上院議員のG.スミス氏

アメリカの商業放送局の集まりであるNAB(全米放送事業者協会)は9月18日,空席になっていた会長にゴードン・スミス元上院議員が就任すると発表した。スミス氏は57歳,オレゴン州選出の共和党上院議員を2期務め,商務委員会などに所属したことから放送業界やメディアの動向にも詳しい。会長の椅子は前任のレア氏が今年5月に退任してから空席となっていて,NABではデジタル化でメディア環境が激変するなか,放送に詳しく且つ議会にも影響力のある人物を探していた。スミス氏の正式な就任は11月1日の予定である。

南米で相次ぎ地デジ日本方式採用へ

南米ではブラジル,ペルー,アルゼンチンに続いて,チリ,ベネズエラが相次いで地上デジタル放送の放送方式として日本方式を採用すると明らかにした。これで南米では5か国が日本方式を採用することになる。チリは9月14日,ヘリア大統領が採用決定の声明を発表,ベネズエラは,国連総会出席のためにニューヨークを訪問中のチャベス大統領が「日本方式の採用を決めたのか」というNHKの質問に対して,「そのとおりだ,近く発表する予定だ」と述べ,「日本方式」の採用を明らかにした。