放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2009年5月

5.7地デジ普及,トップは福井県68.6%

総務省が08年度末の地上デジタルテレビ放送受信機の世帯普及率を発表した。それによると,普及率は60.7%に達したが,目標の62%より1.3ポイント低かった。初めて集計した都道府県別普及率は,福井県が68.6%でトップ,一番低かったのは沖縄県で37.1%だった。

5.11電通,創業期以来の赤字決算

大手広告代理店「電通」が発表した09年3月期の連結決算は,当期純損失(赤字)が204.5億円となった。不況による広告費の落ち込み,保有株式の評価損が主な原因。「電通」の赤字は創業期以来のことである。

5.13「家族で一緒」視聴,増える

日本PTA全国協議会が「子どもとメディアに関する意識調査」の結果を発表した。調査は08年11月に,小学5年生と中学2年生,保護者の9,600人を対象に実施された(有効回収数7,504人)。それによると,家族で一緒にテレビを見る中学生が増えており,中学2年生では04年の調査より10.7ポイント増えて46.7%だった。小学5年生は54.9%。同協議会は,保護者の帰宅が早くなったこと,クイズ番組を親子で楽しんでいることなどが増えた理由ではないかと見ている。

5.13NHK,創作用映像素材をネット提供へ

総務省は,NHKが創作用映像素材をインターネットで一般に提供する業務を認可した。NHKは09年10月から著作者の承諾を必要としない自然の風景や街並みなどの映像を中心に提供する。提供本数は当初は1,000本程度だが,2011年度末には9,000本程度に増やす予定である。

5.14個別番組の事前説明,国会議員にしない

NHKの福地茂雄会長が記者会見で「NHKが自主・自律について視聴者の皆さまに疑いを抱かせることがあってはならない。制作部門の担当者が,放送前に個別の番組内容を国会議員等に説明することは現在行っていないし,今後もない」と述べた。

5.20ショッピング番組で「景品表示法違反」

公正取引委員会は,テレビ通販大手の「ジュピターショップチャンネル」(東京)に対して,「景品表示法違反」で排除命令を出した。公取委によると同社はショッピング番組などで食品用ポリプロピレン製保存容器を,抗菌効果がないのに「抗菌保存容器」として販売したとされる。

5.20広告費落ち込み,キー局5社営業減益 テレビ東京,テレビ朝日は赤字

民放キー局5社の09年3月期の連結決算が,この日までに発表された。それによると,不況による広告費の落ち込みなどで5社とも営業利益は減益となり,テレビ東京とテレビ朝日は赤字決算となった。

5.21SHV多チャンネル・生中継伝送実験

NHKと情報通信研究機構が共同で,スーパーハイビジョン(SHV)の多チャンネル・生中継の伝送実験をNHK技術研究所で一般に公開した。新たに開発された広帯域変復調器を使い,超高速インターネット衛星「きずな」を経由して,札幌などからの映像が伝送された。この実験は,衛星による本格的なSHV多チャンネル放送の実現性を示す世界で初めての試みである。

5.25CATV「デジアナ変換」の導入促進 情報通信審議会が政府に要請

総務大臣の諮問機関である情報通信審議会が第6次中間答申で,地上テレビ放送がデジタル化される2011年7月以降も,CATV加入世帯がアナログテレビで視聴を続けられるよう,CATV事業者がデジタル放送をアナログ放送に変換して流す「デジアナ変換」の導入促進を政府に求めた。同審議会は「デジアナ変換」を緊急避難的措置としている。