放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英Ofcom,BBCラジオ番組に15万ポンドの罰金

イギリスの放送通信分野の規制監督機関のOfcom(Office of Communications)は4月3日,2008年10月にBBCラジオ2で放送された『ラッセル・ブランド ショー』について,「プライバシーの侵害」および「不快・害悪」の番組コード違反と判断し,BBCに対し15万ポンドの罰金の支払いを命じた。

英BBC iPlayer,HDチャンネルを追加

イギリスの公共放送BBCは4月20日, オンデマンドで利用できるキャッチアップ・サービスのiPlayerに HDチャンネルを追加した。BBCによるHDチャンネルは衛星放送とケーブルテレビのVirgin Mediaで午後4時から深夜にかけて放送されており,2009年秋以降地上デジタル放送でも開始される予定である。なお,iPlayerで視聴可能な HD番組はHDチャンネル全体の2割程度にとどまっている。

仏Canal Plus,アナログでの新規加入を終了

アナログ放送終了を視野に入れ,フランスの地上有料放送Canal Plus(Canal +)は4月2日,アナログでの新規加入受付を終了した。今後の新規加入はデジタルサービスのみとなり,地上デジタル放送の無料の18チャンネルも視聴可能になる。すでにアナログで加入している世帯は2010年末までにデジタルに移行する。なお現行のアナログ全国放送のうちCanal +のみはVHFを使用しているため,11月25日にプロバンスとコートダジュールでアナログ放送を終了し,2010年12月には全国で終了する。空いた周波数帯はCSAがデジタルラジオに割り当てる予定。

独公共放送NDR,VODサービス開始

ドイツ公共放送連盟(ARD)に加盟する北ドイツ放送協会(NDR)が計画していた番組配信サービス「NDRメディアテーク」が,同局の内部監督機関である放送評議会に承認され,4月15日に提供が始まった。これはインターネット上で番組を無料配信するもので,原則的に放送後7日間の提供だ

が,時事動向の解説番組は6か月間,重要なドキュメンタリー番組は無期限で提供されるものもある。

独ブンデスリーガ,カルテル庁判断に不服申し立て

サッカー・ブンデスリーガを運営するドイツサッカーリーグ(DFL)は4月2日,2009年から2015年までの放送権販売が連邦カルテル庁により却下されたことについて,高等裁判所に不服申し立てを行った。DFLは,現在午後6時台に放送されている無料ハイライトを午後10時以降にし,生中継を行う有料放送の権利を高くすることで,大幅な収入増を狙っていた。これに対しカルテル庁は2008年7月,有料放送はサッカーファンを搾取してはならず,今後もハイライトは午後8時前に放送されるべきとして却下していた。DFLはこの決定を,収入の可能性を不当に閉ざし,ブンデスリーガを国際競争で不利にするものだとしている。

伊RAI,経営新体制がスタート

公共放送RAIの経営委員会は4月2日,会長にマウロ・マージ(Mauro Masi)氏を任命し,新経営体制がスタートした。RAIの経営陣は,最高意思決定機関である経営委員会,執行責任者である会長ともに,2008年5月末で任期切れとなっていたが,その後も後任が選出されないままになっていた。これは,RAI経営委員会の委員任命権をもつ議会委員会が,2008年5月の政権交代後,内部人事をめぐって与野党間で合意せず,今年2月まで組織されなかったためである。3月末には9名のRAI経営委員が交代,このたび会長を選出し,ようやく新体制が整った。新しい経営委員長に就任したパオロ・ガリンベルティ(Paolo Garimberti)氏は,過去にRai Dueの報道局長,新聞最大手「La Repubblica」の副編集長などを歴任した人物。

アイルランド,地デジ運営事業者撤退

アイルランドで,地上デジタル放送のマルチプレックス運営事業免許を2008年7月に交付されたBoxer DTTが2009年4月,撤退を表明した。同社は,3つのマルチプレックスを運営して,30チャンネルの有料サービスを今年9月から開始する計画だったが,経済環境の変化を理由に事業免許を返上した。