放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米サンタイムズ・メディア,経営破たん

米シカゴの有力紙シカゴ・サンタイムズの親会社で59紙を傘下におさめるサンタイムズ・メディア社が3月31日,連邦破産法11条の適用を申請し事実上の経営破たんに追い込まれた。同社の08年の営業損失は,持続的な購読者離れや不況による広告収入の減少が響いて3億4,000万ドルに達している。シカゴではシカゴ・トリビューン紙を発行するトリビューン社も去年12月に連邦破産法11条の適用を申請しており,シカゴ市内だけで83万世帯近くが購読紙を失う可能性がある。

ドラマ「ER」が放送終了

15年にわたり米NBCで放送されてきた医療ドラマ「ER」が,4月2日に終了した。最終回は2時間のスペシャル版で,NBCは1,620万人が番組を見たと発表した。ここ数回の番組には,ジョージ・クルーニーなど番組から巣立った多くのレギュラー陣も出演した。1994年9月に始まったERは,緊迫感あふれる救急救命現場の描写とテンポある人間ドラマの作りが人気を呼び,最盛期には3,200万人が番組を視聴した。ERは医療を題材にした新しいドラマ分野を開拓し,これまでに22のエミー賞を受賞,世界195か国に輸出されている。

米YouTube,映画やテレビの全編配信をスタート

米ネット大手Google傘下の動画配信サイトYouTubeは4月16日,映画スタジオ各社やテレビコンテンツ事業者と契約を結び,アメリカ国内で映画やテレビ番組の全編を提供するサービスを始めた。提携先はBBCワールドワイドやソニー・ピクチャーズエンターテインメント,CBSパラマウント等で,ディズニーやワーナー・ブラザーズなどとは交渉中だという。アメリカではすでにニューズ・コープ社とNBCユニバーサルが共同で運営するサイトである Huluが同様のサービスを展開しており,YouTubeとHuluが類似サービスで広告獲得をめぐって競争することになる。

地デジ移行に備え,視聴者向けガイド発行

6月12日の地上デジタル移行を目前に控え,アメリカのFCC(連邦通信委員会)と消費者団体のConsumers Unionは共同で,移行に必要な作業を具体的に説明したパンフレットを発行した。冊子は15ページで,コンバーターの接続やアンテナ調整,スキャニングなどについてカラーのイラスト入りで詳しく説明されている。パンフレットはFCCに電話で請求できるほか,下記のURLからもダウンロードできる。FCC ではこれに加え,地デジ移行のホームページも4月21日付で充実・刷新し,視聴者の疑問に応えている。

米新聞社HP,1か月に7,300万人が閲覧

ニールセン社が4月23日に発表した調査結果によると,今年1月から3月までの間にアメリカ国内の新聞社のウェブサイトを閲覧した人の数は1か月平均で 7,330万人に上った。去年の同じ時期より10%以上多くなり,2004年以降で最高を記録した。紙媒体としての新聞の凋落傾向が続くなか,新聞社の HPへのアクセス数は逆に増えていることがわかった。これについて,NAA(米国新聞協会)では「アメリカ国民が,新聞を信頼できるニュースソース・情報源と見ている証拠で,新聞の将来について前向きの材料だ」としている。

NPR,過去最高の聴取率でも人員削減

NPR(全米公共ラジオ)は4月23日,厳しい経済情勢で収入が減少していることを理由に,13人の人員削減を行うことを明らかにした。NPRでは昨年 12月に64人を削減し,2つの番組打ち切りを決めたばかり。その一方で,看板ニュース番組のAll Things Considered やMorning Editionなど番組の聴取率は好調で,去年秋の週間聴取者数は2,750万人と前年より7%多くなり,過去最高となった。NPR幹部は,経済不況や大統領選挙などのニュースを聞くため,報道に定評のあるNPRにダイヤルを合わせた人が多かったためとみている。