放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英デジタルテレビ,88.2%に普及

放送と通信分野の規制監督機関であるOfcomが12月16日に発表した調査によると,2008年9月末現在,デジタルテレビは全世帯の88.2%に普及した。また,家庭内のメインテレビ以外のテレビの60%がデジタル化されている。プラットフォーム別のデジタル受信の割合は,有料衛星放送34%,ケーブル12.4%,ADSL0.3%,有料地上放送1.3%,無料地上放送36.7%,無料衛星放送3.3%である。

英特別指定行事の見直しに着手

放送を所管する文化メディアスポーツ相のアンディー・バーナム氏は12月10日,国民的に重要とされる特別指定行事のリストの見直しを行うため,全英サッカー協会前会長のデビッド・ディヴィス氏を責任者に任命した。1996年放送法によって,政府はオリンピックなどのスポーツ行事の放送に対し国民すべてのアクセスを保障することを目的に,特別指定行事のリスト作成が義務づけられている。ディヴィス氏は,国民やスポーツ団体,放送事業者と協議し,2009年末までに報告書を提出する。

仏公共放送,広告放送の一部廃止を決議

公共放送France Te'le'visionsの経営委員会は12月16日,1月5日以降の広告放送の一部廃止を決議した。1月5日から,20:00以降06:00まで広告放送は廃止される。議会で審議中の放送法改正法案では同様の規定を盛り込み,さらにアナログ放送終了とともに広告放送はすべて廃止されると規定し,代替の財源も定めている。しかし法案は野党の抵抗で審議が遅れ,1月5日までに成立することは不可能な事態となった。そこで政令で広告放送を廃止することも検討されたが,結局アルバネル文化相が15日,ド・カロリス会長に対し公共放送が自ら決定するよう求めた。

フランスのデジタル移行計画,本格始動へ

フィヨン仏首相はデジタル移行全国計画と周波数再利用計画を12月23日付け官報で政令により公布した。移行計画では,2011年11月まで段階的に進められるデジタル移行を地域ごとに定めている。また再利用計画では,マルチプレックスをテレビ放送用に11,携帯機器向け放送用に2つ確保,さらに携帯電話のブロードバンド用に周波数の一部を割り当て,現在テレビ放送で使用されているVHF帯をすべてデジタルラジオに割り当てた。これにより,アルザス地方から順次デジタル移行が本格的に開始される。一方CSAは同23日,デジタル放送開始時期を示した1,626地点のリストを公表した。

独ARD,新会長就任

ARD(ドイツ公共放送連盟)の会長が交代した。2007年1月からARD会長を務めたフリッツ・ラフ氏(ザールラント放送協会会長)が任期満了で退任し,2009年1月,ペーター・ブートグスト氏(南西ドイツ放送協会会長)がARD会長に就任した。ARDでは,傘下の州放送協会が連盟の幹事を輪番制で務め,幹事局の会長がARD会長職を兼務する。ブートグスト氏は法律・財務畑出身の54歳。

EBU,オリンピック放送権を獲得できず

ヨーロッパ放送連合(EBU)は2008年12月2日,2014年にソチ(ロシア)で開催される冬季五輪と,2016年の夏季五輪の放送権に関し,国際オリンピック委員会(IOC)と金額で折り合えず,獲得できなかったことを発表した。

伊RAI,2009年から受信料値上げで107.5ユーロへ

公共放送RAIの受信料が2009年1月1日から1.5ユーロ値上げし,107.5ユーロとなった。値上げ幅はインフレ率を考慮したものとなっており,RAIの2009年収入は約2,400万ユーロ(約31億円)の増収となる見込み。また,受信料の不払いは全国平均で約25~27%と,欧州平均(約 10%)を大きく上回った。不払い率は特に南部で高い傾向にあり,45%にのぼる州もある。所管の経済開発省は,「徴収方法の抜本的な見直しを検討し,将来的には,国民全員が支払うことを前提に,思い切った値下げもあり得る」と述べた。見直し案として同じ欧州の例にならい,フランスの住居税とともに徴収する方式や,ギリシャの電気料金とともに徴収する方式が候補に挙がっている。