放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

ピュリツァー賞,ネット記事も対象に

米ジャーナリズム界で最も権威があるとされるピュリツァー賞の理事会は昨年12月8日,これまでの新聞などに加え,オンライン上で発表された記事も審査対象に加えると発表した。これまでも新聞社のウェブ上の記事は対象とされてきたが,今回新しく審査の対象となるのは,インターネット向けのみに発信された記事で,週に1回以上更新されるサイトであることなどが条件となっている。雑誌やテレビ局が運営するホームページ上の記事は対象外となる。事務局では“変化するメディア環境に対応するため”と説明している。

米トリビューン,破産法適用を申請

米メディア大手トリビューン社が12月8日,連邦破産法11条の適用を連邦破産裁判所に申請した。同社はシカゴ・トリビューンやロサンゼルスタイムズ,ボルチモア・サンなどの有力紙十数紙を所有しているほか,ABC系列(1局),Fox系列(7局),CW系列(13局)など各ネットワーク系列の23のテレビ局も所有しているため放送業界への影響が懸念される。負債額は130億ドルに上る。金融危機のあおりを受け,メディア各社はいずれも大規模な経費削減・人員削減策を打ち出している。

J.レノ,NBC夜10時台の新設トーク番組の司会へ

NBCは12月9日,夜10時台に月曜から金曜までの新しいトーク番組を作り,司会者にジェイ・レノを起用すると発表した。プライムタイムに帯のトーク番組が放送されるのはアメリカのネットワーク局では初めて。NBCでは現在,夜11時半からレノの司会で『トゥナイト・ショー』を放送しており,夜のトーク番組の中では最も高い視聴率を獲得しているが,レノは今年5月いっぱいで番組を降板することが決まっていた。NBCでは,視聴率の獲得とともに,ドラマなどに比べて制作費が少なくて済むトーク番組を新設することで,夜8時台・9時台の番組に予算をかけることができるとしている。新番組は9月から放送が始まる。

米NPR,収入減で人員削減と番組打ち切り

NPR(全米公共ラジオ)は12月10日,厳しい経済情勢で収入が減っていることを理由に,64人の職員を解雇し,2 つの番組を打ち切ると発表した。解雇されるのは全職員889人の7%にあたり,過去最大規模の人員削減となる。制作中止になるのは,若者を対象にした『ディ・トゥー・ディ』と,アフリカ系アメリカ人向けの『ニュース&ノート』で,今年3月いっぱいで打ち切られる。NPRは,聴取者数やHPの利用者は増加しているものの,収入の第2位を占める企業からの拠出金が減少していることが削減の理由だと説明している。

米ディズニー,ロシア進出へ

米メディア大手ウォルト・ディズニーは12月16日,2009年前半中にロシアの放送局所有会社メディア・ワンと合弁会社を立ち上げ,24時間無料放送のディズニーチャンネルをスタートすることを明らかにした。メディア・ワンはロシアで30のテレビ局を所有し,国土の75%をカヴァーしている。これまでロシアでは西側のメディア企業の多くが進出しても成功できていないだけに,ディズニーが世界戦略の一環として進めるロシア進出の成否が注目されている。

T.フェイ,エンターテイナーとして大活躍

AP通信は12月24日,2008年の“エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー”にコメディアンのティナ・フェイを選んだと発表した。全国の新聞編集者や TVプロデューサーなどの投票によるもので,映画『アイアンマン』で復活を果たしたR.ダウニーJr.や『ダークナイト』で強烈な演技を残した故ヒース・レジャーなどを押さえての受賞。38歳のフェイは,共和党のサラ・ペイリン副大統領候補を痛烈に風刺した物まねで人気を博し,文化芸能面だけでなく,政治的にも社会にも影響を与えたことが授賞の理由。フェイはこれ以外にも,エミー賞3部門を受賞したほか,タイム誌の「今年の10人」にも選ばれるなど大活躍の1年だった。