放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2008年7月

7.1BPO「放送人権委員会」 エフエム群馬の放送で倫理違反を指摘

放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送人権委員会」は,2007年12月12日にエフエム群馬が放送した行政書士会幹部の傷害事件報道は放送倫理に違反するとの見解を公表した。書類送検された幹部は不起訴になっており,名誉にかかわる問題であったにもかかわらず,エフエム群馬はこの幹部に対し,全く取材しないまま放送した。ラジオ放送で,放送倫理違反が指摘されたのは初めて。

7.5サミット・デモ取材でカメラマン逮捕

洞爺湖サミットに反対する札幌でのデモを取材していたロイター通信のカメラマン(東京在住)が,公務執行妨害で現行犯逮捕された。デモ行進を取材中に,体を引っ張られ,怒って警察官をけったとされた。7日に処分保留で釈放された。

7.6取材ヘリ,青森県沖で墜落

自衛隊護衛艦の船内火災を取材するために青森空港を飛び立った取材ヘリコプターが,青森県沖で墜落した。青森朝日放送がチャーターした同ヘリには,青森朝日放送のアナウンサーと関連会社のカメラマンが乗っており,2人は行方不明となった。事故当時,海上は濃霧だった。操縦士の遺体は発見されたが,2人は7 月31日現在不明のままである。

7.6地球温暖化防止行動 NHK,教育テレビで放送時間を短縮

NHKは地球温暖化防止行動への参加の一環として,7月6日(日)教育テレビの放送時間を短縮した。通常の放送終了時間は深夜1時35分だが,5つの番組を休止して,午後11時に放送を終了した。電波は7日の放送開始まで約5時間止まり,NHKではこの措置で約240世帯分の1日の平均的電力量相当が節電できたとしている。NHKでは,教育テレビの放送時間の恒常的な短縮を検討している。

7.9CM不振でTBSなど民放キー局 役員報酬のカットを表明

TBSの井上弘社長が記者会見で,2008年7月から役員報酬をカットすることを明らかにした。カットされるのは井上社長(月額報酬の15%),代表権のある専務2人(同12%)ら子会社を含む常勤役員18人。日本テレビ,テレビ朝日,テレビ東京も役員の報酬カットや返上を公表した。またフジテレビは役員賞与を30%カットしたことを明らかにした。いずれも,広告市況の厳しさに伴う措置。

7.23民放ラジオ5局 共同ポータルサイトを開設

「インターネットラジオ推進協議会」等が,TBSラジオや文化放送,ニッポン放送など5局の共同ポータルサイトを開設した。常時,インターネットを介してラジオ番組を配信する。

7.24地デジ完全移行まで3年 国民運動推進本部などスタート

2011年7月24日に予定されている地上デジタル放送への完全移行まであと3年となり,「地上デジタル放送国民運動推進本部」が発足。NHKと民放キー局が地上波アナログテレビ画面の右上に「アナログ」との表示を開始するなど移行に向けての広報・周知活動が本格化した。

7.25「通信・放送の総合的な法体系」論議 意見募集の結果を公表

情報通信審議会が,「通信・放送の総合的な法体系」の中間論点整理に対する意見を募集。その結果を公表した。メディア団体,通信団体,経済団体などから80件の意見が寄せられた。

7.29「モバイル放送」撤退へ

携帯端末向けの有料デジタル衛星放送をサービスしている「モバイル放送」が2009年3月末を目途に撤退すると発表した。同社は東芝等が出資して2004 年10月からサービスを開始し,150万人の利用を見込んだが,「ワンセグ」に押されるなどして10万人にとどまり,赤字経営が続いていた。