放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米PBS,独自の国際ニュース番組スタートへ

PBSに加盟するニューヨークの公共放送局WLIW とWNET は4月30日, これまで放送していたBBCのテレビ国際放送『BBCワールドニュース』の配信契約を打ち切り,WLIWが制作する新しい国際ニュース番組『YOUR WORLD TONIGHT』を10月から放送すると発表した。同番組は国際的な問題に関するリポートと専門家による解説等で構成する。現在『BBCワールドニュース』を放送している全米の公共放送局の多くも追随するとみられる。今回の背景には『BBCワールドニュース』がケーブルテレビで有料配信されていること,また視聴者から分かりにくいという不満があったことなどがある。

米AT&T,携帯電話向けテレビサービス開始

米通信大手AT&Tは5月4日,携帯電話向けテレビサービスをスタートさせた。競合するベライゾン・ワイヤレスより1年遅れてのサービス開始となった。このサービスは,差し当たり主要58の市場でスタートされ,399.99ドルと299.99ドルの2つの上位機種で利用でき,料金は,月額13ドルで4チャンネルからとなっている。2大通信事業者がともに携帯電話向けテレビサービスを開始したことで,今後,競争が活発化し,関連サービスや機器等の市場も拡大していくとみられる。

米デジタル移行,実施を前に地方で試行

FCC(米連邦通信委員会)は5月8日,来年2月に米国内で地上デジタル放送への移行が行われるのを前に,ノースカロライナ州ウィルミントンでアナログ放送終了のテストを行うことを明らかにした。試行では9月8日の正午に,この地域の商業放送局5局が一斉にアナログの放送信号を停止し,どんな影響が出るかを検証する。ウィルミントンの商業局5局はすでにデジタル化の工事を終えて,デジタル放送を実施している。一方,PBS系のWUNJは,ハリケーンシーズンで緊急時の放送に備えるとして,アナログ信号を止めず,デジタルとの同時放送を続ける。

米上院,メディア所有規制緩和に反対

米上院議会は5月15日,FCC(米連邦通信委員会)が決定したメディア所有規制緩和を覆す法案を可決した。FCCは去年(2007年)12月,全米20 の主要都市で同一企業が新聞と放送局を兼営することを32年ぶりに認めていた。今回の法案を発議した議員の一人,民主党の大統領候補オバマ上院議員は上院での可決を歓迎し,下院に対しても同様の法案を速やかに可決するよう促した。一方,この法案可決に対して,グティエレス商務長官は,「失望した。FCCの規制緩和は危機にある新聞業界に財政的活力を与えるものだ」として,大統領に対して拒否権を発動するよう勧める意向を示している。

米CBS,ネット情報企業買収へ

CBSネットワークを傘下に持つ米CBSコーポレーションは5月15日,専門業界情報の配信等を行っているCNETネットワーク社を18億ドル(約 1,870億円)で買収すると発表した。CNETネットワークス社はハイテク情報のCNET.com,ビジネス情報のBNET.comなど各市場や業界に関する専門情報を特化させて配信するウェブサイトで成功した企業である。CBSは同社の買収により,番組のネット上でのプロモーション活動等,ネット事業を拡大していくほか,ネット広告収入も増やしていきたい考えである。

米「デジタル移行に備えなし」10%を切る

米ニールセン社は5月27日,来年2月のアナログ終了/デジタル移行に全く対応していない世帯の割合が,4月末現在で9.4%まで減ったという調査結果を発表した。それによると,ケーブルや衛星放送に加入せず,デジタルチューナー付きのテレビや変換コンバーターなどを一切持たない世帯の割合が,1月調査の 10.2%から減少して今回は,一桁の数字になったとしている。アメリカでは,前回の調査後,コンバーター購入補助のためのクーポン券の配付が始まっている。