放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,野外中継部門を完全民営化へ

イギリスBBCは4月1日,100%子会社のBBCリソース社の野外中継部門(BBC Outside Broadcasts)を切り離し,サテライト・インフォメーション・サービス社(SIS)への売却が完了したと発表した。BBCは2006年6月に発表した将来ビジョンに沿って,BBCリソース社の売却を進め,2007年8月にリソース社をBBC Outside Broadcasts,BBC Studios,BBC Post Productionの3部門に分け,BBC Studiosを除き売却先を探していた。

仏CSA,地上デジタルラジオの免許公募開始

フランスの規制機関CSAは3月26日,地上デジタルラジオの免許公募を開始した。パリ,リヨン,マルセイユなど19都市における35または44局分(パリでは62)に相当する周波数が対象で,人口の30%がカバーされる。応募の締め切りは6月16日で,12月に免許を交付する。2009年初めに各マルチプレックスのオペレーターを決定して放送を開始する予定。技術規格は昨年12月に政令でT-DMB方式に決定している。

フランスでキャッチアップTVの開始相次ぐ

フランスの有料チャンネルCanal Plusは3月11日,インターネット経由で見逃した番組を本放送から1か月間視聴できる「Canal+ a' la demande」というVODサービスを開始した。対象は加入世帯に限定され,追加料金は不要。一方M6も19日に同様のサービス「M6 Replay」を開始した。フランス国内限定の無料サービスで,番組を放送の1時間後から7~15日間インターネットで視聴できる。公共放送France Te'le'visionsもADSL最大手Orangeとの独占提携で「Rewind TV」を4月初めに開始する見込みである。

独商業放送,ネットで無料VODサービス開始

商業放送グループProSiebenSat.1 Media傘下のドイツの放送局Sat.1,ProSieben,Kabel 1は,3月10日から各ウェブサイト上で番組のオンデマンド配信を開始した。配信される番組は,「ドイツのトップモデルを探せ」など,自社制作の人気の娯楽番組やドラマなど計9シリーズで,放送直後から放送後1週間まで無料で視聴できる。財源は,冒頭に挿入されるスポット広告。同グループは2006年から有料の番組配信サイト「Maxdome」を展開しており,無料サービスとの連携で顧客拡大を狙う。

伊,携帯で先進,ブロードバンドで遅れ

EUの欧州委員会は3月19日,電気通信に関する2007年の報告書を公表し,イタリアは携帯電話普及で先進,ブロードバンド普及で遅れていることが明らかになった。報告書によると,イタリアの携帯普及率は148%で欧州第2位,3G携帯の伸び率も前年比38.5%増と先進,DVB-H方式による携帯向け放送の本サービスもすでに2006年6月に始まっている。一方,ブロードバンドの普及率は,順調に伸びてはいるものの,国内平均で17.12%と欧州平均の20%に達していない。また,ブロードバンドのカバー率では全国平均(89%)と農村部(50%)のデジタル・ディバイドも浮き彫りになった。

欧州委,ベルギー公共放送の財源制度改正案を承認

EUの欧州委員会は,ベルギーのオランダ語地域の公共放送VRTの任務範囲と財源のあり方が,市場の公正な競争を妨害する懸念があるとし,これを改善するよう2006年から求めていたが,2月27日,同地域政府の提出した改正案を承認したと発表した。改正案によれば,VRTが行うオンライン活動など新しいデジタルサービスの公共的価値について,今後関係者からの意見募集と議論を行い,その結果を,5年ごとに結ばれる地域政府とVRTの事業契約書の次の更新時に盛り込む。

欧州委,DVB-H方式を統一規格として公式採用

EUの欧州委員会は3月17日,携帯端末向け放送の規格として,DVB-H方式をEUの公式規格リストに加えた。これにより加盟国の政府は,国内で DVB-Hの採用を推奨することが義務づけられる。欧州委は,今年開催されるサッカーの欧州選手権や北京五輪を契機に,DVB-H方式の機器・サービスの導入と普及にはずみをつけ,EU域内の携帯端末向け放送市場の統一と振興をめざす。